機構から  
 

平成22年度の畜産業振興事業の概要

畜産振興部


  
 平成22年2月23日に、国において食料・農業・農村政策審議会畜産部会が開催され、23日に平成22年度畜産物価格が、また、24日に畜産物価格関連対策が発表されました。

 最近の畜産を取り巻く情勢は、主に景気の悪化により牛肉・豚肉や牛乳乳製品の消費が低迷し、牛枝肉及び豚枝肉の価格の低落や肉用子牛価格の低下などを招いている現状にあります。それに加え、配合飼料価格は一時期より低下しているものの、依然として高水準にあるため畜産経営の収益性が低下し、生産者の方々の経営は厳しい状況が続いています。

 このような状況にあることなどを踏まえ、平成22年度の畜産業振興事業は、経営安定対策、生乳・鶏卵の緊急需給安定対策に重きを置くとともに、その他対策として酪農・乳業関係、食肉等流通関係、飼料・環境関係、資金・リース対策など各般にわたった事業が盛り込まれ、総額1,632億円(平成21年度 1,421億円)の対策が措置されたところです。

 機構といたしましては、平成22年度畜産業振興事業の実施に当たり、21年度に引き続き事業実施主体の公募制を実施することにより、事業実施主体の選定に係る透明性を確保するほか、地域の事業実施主体へ直接補てん金などを交付する事業を増加させるなど、事業の効率的・効果的な実施に努めていく所存です。

 本稿では、主要な関連対策を中心にその概要を紹介します。(なお、金額は所要額です。)

T 経営安定対策

○資源循環型酪農推進事業 64億円

(1)目的

 酪農においては、個々の経営体が「畜産環境問題に適切に対応し得る飼料基盤」を有し、さらに環境保全、飼料自給率の向上に取り組むことにより、自然循環機能の維持増進を図り持続性の高い生産構造を確立する必要がある。 このため、飼料基盤に立脚した環境調和型の酪農経営を実施する生産者を支援する。

(2)内容

 経産牛1頭当たりの飼料作付面積が基準面積(北海道40a/頭、都府県10a/頭)以上の生産者に対し、以下の取り組みを実践する場合に飼料作物作付面積に応じた奨励金を交付する。

(1) 環境保全、飼料自給率の向上に資する取り組みを実施する酪農経営への支援

 (下記の取り組みのうち、いずれか一つ)

 ・ デントコーン・ソルガムの作付かつスラリーの土中施用の実施

 ・ 不耕起栽培の実施かつスラリーの土中施用の実施

 ・無化学肥料栽培の実施

 ・無農薬栽培の実施

 ・緩衝帯の設置による環境保全

 ・ その他都道府県知事が特別に認める取り組みの実施

  ⇒@7,500円/ha

(2)  (1)の取り組みに加え、飼養管理の変更による一層の環境負荷軽減、飼料自給率向上に取り組む酪農経営への支援

 (下記の取り組みのうち、いずれか一つ)

 ・濃厚飼料給与量の低減

 ・経産牛飼養頭数の削減

 ・放牧の実施

 ・TMR(完全混合飼料)給与の実施

 ・ 自動給餌機を利用した国産粗飼料の給与の実施

  ⇒@8,000円/ha

(3)  (1)の取り組みに加え、飼料作付面積を前年度に比べ5%以上拡大する酪農経営(前年度事業参加者に限る)への支援

  ⇒@3,000円/ha

○加工原料乳生産者経営安定対策事業 22百万円

(1)目的


 加工原料乳価格が需給変動等により低落した場合に、生産者の拠出と国の助成金とによる生産者積立金によりその一定部分を補てんし、加工原料乳生産者補給金制度と一体となって、酪農経営の安定を図り、もって生乳の再生産の確保及び牛乳乳製品の安定供給に資する。

(2)内容

 加工原料乳価格が補てん基準価格(過去3年間の平均取引価格)を下回った場合に、加工原料乳の生産者に補てん金(差額の8割)を交付する。

○肉用牛繁殖経営支援事業(新規) 142億円

(1)目的


 肉用牛繁殖経営は、子牛出荷までの生産期間が長いため資本回転率が低く多額の運転資金を必要とし、子牛価格の変動の影響を受けやすいという特徴を有している。

 このため、肉用子牛生産者補給金制度を補完し、子牛価格が家族労働費の8割水準を下回った場合に差額の一部を補てんすることにより、繁殖経営の所得を確保し、肉用牛繁殖経営基盤の安定を図る。

(2)内容

 肉用子牛の四半期毎の平均売買価格が発動基準(家族労働費の8割を補償するものとして設定)を下回った場合、当該四半期に販売又は自家保留された肉用子牛を対象として、発動基準を下回った額の3/4を交付する。

 (1)対象品種 : 黒毛和種、褐毛和種、その他の肉専用種

 (2)発動基準 :
 (3)交付金単価 : 発動基準と平均売買価格(ただし、平均売買価格が保証基準価格を下回る場合は保証基準価格)の差額の3/4

 (4)対象子牛 : 肉用子牛生産者補給金制度の契約肉用子牛

 (5)事業実施期間:平成22〜24年度(3年間)

○肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新規) 846億円
  −新マルキンの創設−


(1)目的

 肉用牛肥育経営の収益性が悪化した場合に、生産者の拠出と国の助成により造成した基金から、粗収益と生産費との差額の8割を補てんすることにより、肉用牛肥育経営の安定を図る。

(2)内容

 四半期ごとの肥育牛1頭当たりの粗収益(全国平均)が生産費(全国平均)を下回った場合に、肥育牛生産者に補てん金を交付する。

 (1)拠出割合    生産者:国=1:3

 (2)事業実施期間 平成22〜24年度(3年間)

 (3)補てん割合    1頭当たりの生産費と粗収益との差額分の8割

 (4)対象品種     肉専用種、交雑種、乳用種の3区分

 (5)対象者      肉用牛肥育経営者
○養豚経営安定対策事業(新規) 99億円

(1)目的


 豚枝肉価格の低下、生産コストの上昇等により、養豚経営の収益性は悪化している状況にある。

 このため、豚枝肉価格が、生産コストに相当する保証基準価格を下回った場合に、肉豚生産者に対して、その差額の8割を補てんすることにより、養豚経営の安定を図る。

(2)内容

 豚枝肉の全国平均価格が、生産コストに相当する保証基準価格を下回った場合に、肉豚生産者に対して、補てん金を交付する。

 (1)拠出割合    生産者:国=1:1

 (2)事業実施期間 平成22〜24年度(3年間)

 (3) 補てん割合   枝肉価格と保証基準価格との差額分の8割

 (4) 対象者      養豚経営者(耕畜連携、エコフィードの活用等の取り組みに努めようとする者)

U 生乳・鶏卵の緊急需給安定対策

○生乳需要創出緊急対策支援事業(新規) 58億円

(1)目的


 チーズ、生クリーム等液状乳製品、脱脂乳向け生乳の需要を創出し、生乳需給の安定を図るための生産者団体の緊急的な取り組みを支援する。

(2)内容


 (1)国産チーズ需要創出緊急対策

   チーズ向け生乳について、基準となる数量を上回って供給した場合に25円/kgを交付する。

   (※過去3年平均の供給数量に国産チーズ供給拡大対策事業の奨励金交付対象数量を加えた数量)

 (2)液状乳製品需要創出緊急対策

   液状乳製品(生クリーム等)向け生乳について、基準となる数量を上回って供給した場合に10円/kg(前年度の供給量を上回る部分には2円/kg加算し12円/kg)を交付する。

 (3)脱脂乳需要創出緊急対策

   脱脂乳向け生乳について、新たに需要を創出し供給を拡大する場合に12円/kgを交付する。

○鶏卵需給安定緊急支援事業(新規) 37億円

(1)目的


 飼料価格が依然として高止まりしている中、厳しい経済情勢を反映して鶏卵価格が低落しており、養鶏農家の経営が悪化している。こうした中、卵価の低落により成鶏の更新が滞っており、老鶏から品質の低い鶏卵が生産され、これが卵価を一層下落させるという悪循環に陥っている。

 また、消費者が鶏卵の安全性や品質に対して高い関心を有していることを踏まえれば、鶏卵の安全性の確保や表示に関する正しい知識の普及を行うことが、鶏卵の需給・価格の安定を図る上で極めて重要となっている。

 このため、成鶏の更新を促進し、併せて空舎期間の延長を図ることにより、鶏卵需給の安定を図る。また、生産者自らによる需要に見合った生産や、鶏卵の適正表示の啓発・普及等を推進する。

(2)内容

 (1)成鶏更新緊急支援事業

    鶏卵生産者が成鶏を出荷し、その後長期の空舎期間(60日以上)を設けて衛生環境の向上を図る場合、当該生産者に対し奨励金(1羽100円以内、鶏舎収容可能羽数10万羽未満者には1羽46円以内を加算)を交付する(鶏舎収容可能羽数10万羽未満者への加算分の総額は5億円を限度とする)。

 (2)鶏卵需給安定推進事業

    生産者が自ら行う需要に見合った生産への取り組みを支援するとともに、鶏卵の適正表示の啓発・普及等を推進する。

V その他対策

1 酪農・乳業関係

○ 多様な酪農経営実現支援事業(組替) 6億円

(1)目的


 多様な酪農経営の実現により所得の向上を図るためには、それぞれの生産者が目指す経営方向に適した牛群を効率的に整備していく必要がある。

 このため、生産者が目指す経営方向に適した牛群の整備のために必要な遺伝資源の活用や基礎情報の取得、飼養管理技術の向上等を図り、多様な酪農経営の推進を図る。

(2)内容


 (1)特徴ある乳用種遺伝資源活用対策

   生産者が目指す経営方向に適した牛群への再編を加速するために必要な受精卵等優れた遺伝資源を導入する場合に支援を行う。

  ア 優良受精卵導入
     50千円/個

  イ 性判別優良受精卵導入
     65千円/個

  ウ 供卵牛借り上げ
     75千円/頭

 (2)改良基礎情報取得等対策

   生産者が目指す経営方向に適した牛群を整備(弱点となっている形質の改良)していくために必要な基礎情報の取得と飼養管理技術の向上を図るための以下の取り組みに対して支援を行う。

  ア  生涯生産性等の評価に必要な乳用牛の体型データの収集分析・指導

  イ  無駄のない飼養管理の実現に必要なデータ(飼料給与、繁殖等)の収集分析・指導

 (3)性判別精液生産拡大対策

   優良な後継牛を効率的に確保するため、乳用牛雌性判別精液の受胎率等の調査を行うとともに、性判別精子生産機器の導入等に対して支援を行う。

○酪農経営安定化支援ヘルパー事業(組替) 3億円

(1)目的

 酪農ヘルパー要員の養成、傷病時利用の円滑化等により、酪農ヘルパーの利用促進を総合的に推進し、ゆとりある持続性の高い酪農経営の実現に資する。

(2)内容

 (1)酪農ヘルパー要員の養成

   ヘルパー要員の養成研修を開催する。

 (2) 酪農ヘルパー要員の雇用環境の整備(拡充)

  ア  雇用後1年以内のヘルパー要員に対し実践研修を行う利用組合に対して、ヘルパー要員の住宅・通勤手当の一部を助成する(33千円/月以内)。

  イ  ヘルパーの傷害補償のための保険加入を促進する。

 (3) 傷病時の酪農ヘルパー利用の円滑化(拡充)

   傷病時にヘルパーを利用した場合に、積立金の取崩しにより利用料金を軽減する互助制度を実施する利用組合又は都道府県団体を支援する。

  ア  傷病時のヘルパー利用料金を軽減する場合に係る費用の一部を助成する。

  (ア) 助成対象とする傷病等に、忌引き、父母等の病気見舞いに伴う里帰りを追加。

  (イ) 互助組織を統合した場合、当該年度に限り補助率を1/2以内から2/3以内に引き上げ。

  イ  ヘルパーの利用に起因して発生する利用農家の財物の破損等を賠償する保険料の一部を助成する。

 (4)酪農ヘルパー制度の高度化

   利用実態等調査、優良事例発表会等を実施する。

 (5)新規就農・経営継承推進

   新規就農希望者・経営移譲希望者の紹介等を行い、新規就農及び円滑な経営継承を推進する。

2 肉用牛・養豚・食肉等流通関係

○多様な肉用牛経営実現支援事業(組替) 29億円

(1)目的

 肉用牛生産が中山間地域の基幹的な農業部門のひとつとして、地域経済の活性化に重要な役割を果たしていることを踏まえ、高齢化等に対処する肉用牛ヘルパー組織への支援、地域の特色ある肉用牛振興対策等を実施することにより、多様な肉用牛経営の実現を図る。

(2)内容

 (1)新規参入円滑化等対策

   農協等が飼養管理施設等の整備を行い、繁殖経営への新規参入者に貸し付けを行う場合に支援等を行う。

 (2)肉用牛改良増殖強化対策

   生産性の高い種雄牛作出のための計画交配や候補種雄牛の適切な能力評価を行うための集中的な後代検定、新たに選抜された種雄牛の利用を推進するとともに、枝肉情報の収集・分析等により種畜の能力評価の精度向上を図る。

 (3)肉用牛生産基盤強化対策

   生産者集団等が行う肉用牛ヘルパーの推進、経営内一貫経営の導入、中核的な繁殖経営の育成などの総合的な取り組みの支援等を行う。

 (4)地域の特色ある肉用牛振興対策

   地方特定品種の生産基盤の維持・強化や放牧利用の推進、離島等及び山振地域における肉用子牛の集出荷を促進するための取り組み等に対して支援を行う。

 (5)肉用牛流通促進対策

   家畜商組合等が行う肉用子牛の預託や家畜流通の円滑化を図るための取り組みの支援等を行う。

 (6)大規模公共牧場肉用牛資源供給拡大対策

   大規模な公共牧場を活用した肉用牛供給拡大のための取り組みの支援等を行う。(継続実施分のみ)

○国産食肉需要構造改善対策事業 9億円

(1)目的


 食料自給率の向上を図る上で、需要全体に占める国産食肉のシェアを拡大することが重要となっている。また、飼料価格の高止まり等を背景に肉用牛や養豚の経営が悪化している中、我が国の畜産経営の安定を図る上で最終商品である国産食肉の需要拡大が必要となっている。

 一方、食肉は生活習慣病の主要な要因のひとつと言われるなど栄養・機能面での誤解が根強いほか、牛肉については、BSEの発生以降、その安全性等について未だ消費者の十分な理解が得られず、消費水準はBSE発生以前の水準を下回っている状況にある。

 このため、国産食肉の販路の拡大、消費者と連携した産地開発、不需要部位の有効利用等による国産食肉の需要の喚起を図るとともに、併せて国産食肉に関する正確な知識の普及等を通じた消費者等の誤解の払拭と一層の理解醸成を推進する。

(2)内容

 (1)国産食肉の販路開拓・販売強化

   国産食肉の販路開拓・販売強化を図るため、輸出先国政府関係者の招へい等による海外販路の拡大、試験販売等生産者自らによる販路拡大、消費者団体との連携強化を通じた産地開発、自給飼料を多給したサシの少ない牛肉など消費者ニーズを反映したブランド化等の新たな取り組みを支援する。

 (2)国産食肉の国内需要の喚起

   国産食肉の国内需要を喚起するため、食肉事業者による不需要部位の商品開発、検索サイトを活用した外食需要の拡大等の取り組みを支援する。

 (3) 国産食肉に関する知識普及・需要動向の把握

   食肉の機能や栄養面に関する誤解、安全性への不安を払拭しつつ、国産食肉の消費拡大を図るため、食肉に関する学術情報、需要動向、消費者ニーズ及び優良販売事例を収集・分析するとともに、市民大学等を活用した知識普及、食品メーカー等と連携した情報提供等を推進する。

3 飼料・環境関係

○国産飼料資源活用促進総合対策事業 9億円

(1)目的


 我が国の畜産経営は飼料原料の多くを輸入に依存し、輸入とうもろこし価格の上昇等の外部要因に極めて大きな影響を受けている。

 自給飼料基盤に立脚した畜産を確立するため、耕作放棄地等を活用した放牧の推進や優良飼料作物種子の利用による効率的な粗飼料生産を推進するとともに、コントラクター(飼料生産受託組織)の育成・拡大を図る。また、濃厚飼料についても、飼料用米の利用の拡大・定着により、自給可能な国産飼料の一層の生産・利用拡大を図る。

(2)内容

 (1)粗飼料自給率向上総合対策事業(拡充)

  ア 放牧利用推進

     我が国の粗飼料資源の効率的な利用を図るため、公共牧場における放牧集団の共同活動や、耕作放棄地等を活用した放牧推進体制の構築を支援することにより放牧利用を推進する。

  イ 飼料作物種子の安定供給

     飼料作物種子の安定供給を図るため、飼料作物種子の調整保管を行うとともに、飼料用稲専用品種の種子について都道府県段階における種子生産を補完するための全国段階での供給体制を確保する。

 (2)飼料増産受託システム拡大緊急対策事業

   飼料生産を担う受託組織の育成を推進するため、作業受託を開始するコントラクターに対し、受託する作業面積に応じた助成を行う。

 (3)飼料用米導入定着化緊急対策事業(拡充)

   飼料用米の低コスト生産技術の確立や、飼料用米を利用した家畜・畜産物に関する知見の集積を推進するため、地域における栽培実証調査や家畜・畜産物への影響調査を支援する。

4 資金・リース対策

○畜産高度化支援リース事業(組替)  (22年度貸付枠84億円)

(1)目的


 畜産経営の生産性向上、家畜排せつ物の利活用の推進、畜産経営における環境整備及び食肉や生乳流通の効率化・合理化に必要な施設等の導入を支援することにより、我が国畜産の安定的発展を図る。

(2)内容

 (1)畜産経営生産性向上支援リース

   畜産農家等に対して、生産性向上に必要な施設等の貸付(リース)を行う。(貸付物件の購入費の1/3を助成。)

 (2)たい肥調整・保管施設リース事業

   畜産農家等に対して、たい肥の調整・保管に必要な施設等の貸付(リース)を行う。(貸付物件の購入費の1/2を助成。)

 (3)畜産環境整備リース事業

   畜産農家等に対して、畜産環境整備に必要な施設等の貸付(リース)を行う。

 (4)食肉販売等合理化施設整備リース事業

   食肉処理、加工、販売事業者等に対して、食肉流通の合理化、衛生基準の高度化等に必要な施設等の貸付(リース)を行う。

 (5)生乳流通効率化支援リース事業

   生産者団体、牛乳販売業者等に対して、生乳等の流通の効率化に必要な施設等の貸付(リース)を行う。

○家畜飼料特別支援資金融通事業(延長)(19〜22年度融資枠680億円)

(1)目的


 配合飼料価格の上昇に対応し、畜産経営に対する飼料購入に要する資金の融通を行うことにより、畜産の安定的発展を図る。

(2)内容

 配合飼料価格(補てん金を除く農家実質負担価格)が上昇し、畜産経営の経営努力を踏まえても、生産費が収益を上回るような水準(指標として単位当たり配合飼料価格の水準を設定)となった場合、限度額の範囲内において畜産経営に対する飼料購入資金の融通を行う融資機関に対して利子補給を行うとともに、債務保証に対する支援を行う。

 (1)資金の使途  飼料費

 (2)貸付利率   0.80〜1.05%

 (3) 償還期限   10年(うち据置期間3年)以内

 (4)貸付限度額  肥育牛  :100千円/頭
            乳用牛  :50千円/頭
            繁殖雌牛 :12千円/頭
            豚    :9千円/頭
            鶏  :45千円/100羽

 (5) 利子補給率   農業近代化資金の基準金利と貸付利率との差

 (6)債務保証に対する支援

           当該資金を円滑に融通するため保証基盤へ助成を行う。

5 安心確保ほか

○肉骨粉適正処分対策事業 65億円

(1)目的


 肉骨粉は、本来、飼肥料等用原料として有用なものであるが、BSEの発生に伴い、牛への誤用を防止する観点から、飼肥料等用原料としての利用を一時停止しているところである。その後、豚・鶏由来肉骨粉については、その安全性が確認されたため、飼肥料等用原料への利用が解除されている。 こうした中、円滑な畜産副産物の処理を継続するため、肉骨粉の適正処分を推進し、と畜場機能の維持及び肉畜出荷の安定化を図るとともに、利用可能となった豚由来肉骨粉等の有効利用を促進する。

(2)内容

 畜産残さのレンダリング処理及びこれにより製造された肉骨粉を焼却処分するのに必要な経費を助成する。

○国産畜産物安心確保等支援事業(組替) 6億円

(1)目的


 家畜個体識別システムの円滑な運用の確保、BSE患畜が確認された場合の迅速な対応、高病原性鳥インフルエンザ発生時のまん延防止等への対応を支援することにより、国産畜産物の安心確保と安定供給に資する。

(2)内容

 (1)家畜個体識別システム定着化事業

   家畜個体識別システムの適正かつ円滑な運用を図るため、生産者等が牛トレーサビリティ制度を的確に実施するための取り組みを支援する。

 (2)家畜飼養管理国際基準等対応推進事業

   国際基準が検討されているアニマルウエルフェアについて的確に対応するため、我が国の飼養実態や科学的知見を踏まえた、日本独自の飼養管理指針の作成と普及啓発の実施を支援する。

 (3) 高病原性鳥インフルエンザ防疫体制確立事業

   高病原性鳥インフルエンザが発生した場合及び発生のリスクが高まった場合に、まん延防止のため、養鶏等生産者団体による防疫体制の強化を支援する。

 (4)BSE発生農家経営再建支援等事業

   BSE発生農家等の経営再建を支援するとともに、BSE発生地域及びBSE患畜等が確認された食肉センター等への影響を緩和する。

 (5)産業動物獣医師修学資金給付事業

   畜産現場で重要な役割を担うにもかかわらず、不足している産業動物獣医師を育成・確保するため、修学資金を給付する。

 (6)生乳検査精度管理強化事業

   生乳の成分、品質等の検査の精度向上と効率化のため、認証検査機関及び認証を受けようとする検査機関の検査精度管理の強化を支援する。

 (7)乳製品国際規格策定活動支援事業

   乳製品に関する国際規格が、我が国における乳製品の製造・消費実態等を踏まえた、消費者利益を確保し、かつ国産乳製品の需要喪失を招かないものとなるよう、策定にかかる活動を支援する。

 なお、上記事業のほかの事業を含む畜産業振興事業全体の内容については、当機構のホームページにPR版や事業実施要綱などを掲載することとしておりますので、ご覧ください。

 
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