需給動向 海外

◆豪 州◆

2014/15年度までの酪農乳業に係る需給予測を発表


◇絵でみる需給動向◇


生乳生産量は、記録的低水準が見込まれる2009/10年度から徐々に回復する見込み

 豪州農業資源経済局(ABARE)は2010年3月、今後5年間にわたる農産物需給予測を発表した。ABAREによると、2009/10年度(7月〜6月)の生乳生産量は、1997/98年度以来最低となる前年度比5%減の893万キロリットルと見込まれている。これは、加工原料用の生乳生産が多いヴィクトリア(VIC)州およびタスマニア州の減産によるところが大きい。特にかんがい用水に大きく依存するVIC州北部地域では、2009年上半期(1月〜6月)に、低乳価に対応するため乳牛のとう汰および購入飼料の利用削減などを実施したことが主な減産要因となっている。

 一方、中期的な生乳生産見通しとしては、気候、かんがい用水の利用可能量、飼料価格などさまざまな要因が影響するが、2010/11年度以降、乳牛飼養頭数の回復とともに、生産量は徐々に増加し、2014/15年度には970万キロリットルに達するとしている。

生産者乳価は、2011/12年度まで低下、その後回復すると予測

 ABAREは、2009/10年度の1リットル当たりの生産者乳価について、前年度比19%安の35.2豪セント(約29円:1豪ドル=81円)と見込んでいる。さらに、2010/11年度は前年度比1%安の34.7豪セント(約28円)としており、低下傾向は2011/12年度まで続くと見ている。その後、国際乳製品価格の変動に伴い、生産者乳価は2013/14年度をピークに低下すると予測している。

図13 生乳生産量と生産者乳価の推移

乳製品生産は高付加価値商品であるチーズや全粉乳へシフト

 ABAREは、2009/10年度の主要乳製品生産量について、おおむね減少すると見込んでいる。これは、生乳生産量が減少する一方で国内飲用乳消費は増加し、加工原料用の生乳が減少するためである。また、輸出量については、ロシアなどからの需要が見込まれるバターを除き、減少するとしている。

 今後、乳製品の生産は、高付加価値商品であるチーズや全粉乳にシフトすると予想され、2011/12年度以降、それらの生産、輸出量はともに増加すると見込まれる。その結果、バター、脱脂粉乳の生産は減少するとしている。

 なお、2009/10年度の乳製品輸出額については、輸出量および輸出単価の低迷から19億豪ドル(約1539億円)と減少するが、2010/11年度については前年度比7%増の20億豪ドル(約1620億円)と見込んでいる。また、中期的見通しとしては、低水準の国際乳製品価格が継続すると見込まれることから、輸出額は2014/15年度まで同水準で推移すると予測している。

表3 乳製品の生産量、輸出量、輸出額の見通し

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