EU統計局(EUROSTAT)が公表したEU農業生産者の収入に関する統計によると、2009年のEU農業生産者1人当たりの農業労働投下量を加味した農業収入は、前年比12.2%減と、2008年に引き続き2年連続の減少となった。これは、農業労働費が2.2%の減少にとどまったものの、農業実収入が14.2%減少したためである。農業実収入の減少は、生産費が減少(▲9.2%)する一方、生産額も減少(▲10.9%)した結果による。なお、生産費の減少については、主に肥料費(▲14.0%)、飼料原料費(▲14.1%)および燃料費(▲12.5%)によるところが大きい。 ※農業実収入とは、実質所得および農業に関する助成金から生産資材および減価償却費を減じたもの。 畜産物の生産額は9.7%の減少 近年増加傾向にあった生産額は減少に転じ、耕種作物(▲13.2%)、畜産物(▲9.7%)ともにかなり減少した。 耕種作物の生産額の減少は、生産量はほぼ前年並みであったものの、生産者価格がかなり低下(▲12.4%)したことによるものである。特に昨年大幅に上昇した穀物の生産者価格は、一転して27.5%安と大幅に低下した。 畜産物の生産額の減少は、生産量(▲1.1%)はわずかな減少であったが、生産者価格(▲8.7%)がかなり低下した結果となっている。品目別に見ると昨年好調であった牛乳は、生産量は前年同であったが、生産者価格が20.3%減と大幅に低下した。豚肉も、生産量(▲0.3%)はほぼ前年並みであったが、生産者価格(▲4.2%)はやや低下した。また、牛肉は、生産量(▲2.9%)、生産者価格(▲1.8%)ともにやや低下した。 昨年好調だったハンガリーは大幅に減少 農業収入の増減を加盟国別に見ると、27カ国のうち22カ国が減少、そのうち18カ国で二ケタの減少となっている。最も落ち込んだのはハンガリー(▲35.6%)で、イタリア(▲25.3%)、ルクセンブルグ(▲25.1%)が続いている。一方、増加した国を見ると、英国(14.3%)、マルタ(9.14%)がかなり増加しているが、それ以外は微増となっている。
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