ラオス、タイ北部のメコン川の水位が大幅に低下
カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムの4カ国で構成されるメコン川委員会は2月26日、ラオスとタイの北部におけるメコン川の水位が大幅に低下していると発表した。発表によれば、ラオスの首都ビエンチャンを含むいくつかの観測地点では、1992年の干ばつの影響を受けた1993年の水位を下回っているとのことである。
メコン川上流の中国雲南省やラオスとタイの北部では、2009年9月以降降水量が平年を大きく下回っており、メコン川委員会では、これがメコン川水位の低下の原因であるとみている。
水位の低下はメコン川支流でも観測されており、ラオスのルアンプラバンでメコン川に合流するナムカン川の水位は、直近50年で最低の水位を記録している。また、ラオスでは水上ツアーが中止しており、政府機関による国民への節水の呼びかけも行われている。
メコン川委員会では、この干ばつにより、貧困問題を抱えるラオスとタイの北部において、農業、食料や水の確保、水上輸送に大きな影響が生じ得ると懸念している。
※ メコン川委員会は、メコン川流域の持続的な開発と管理のための協力を目的として、
1995年に、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムにより設立された政府間組織。1996年に、
中国、ミャンマーが対話国として加わっている。
フィリピンでは、エルニーニョの影響
また、フィリピンでは、エルニーニョの影響により、農作物に影響が生じている。
フィリピン農務省(DA)は3月4日、緊急のエルニーニョ農水産業対策として、北部ルソン地方に対する1090万ペソ(約2289万円:1ペソ=2.1円)相当の援助(かんがいポンプ426台分)と緊急雇用対策を実施したと発表した。DAでは、このかんがいポンプに対する援助はエルニーニョ対策パッケージのひとつである総額3560万ペソ(約7476万円)、かんがいポンプ1,363台分の援助の一部として、割当証書の形で配分された。
また、アロヨ大統領が、エルニーニョの影響を受けた農家について、国家かんがい庁へのかんがい使用料や政府系金融機関への罰金の支払猶予措置を適用するよう指示したと発表した。
さらに、フォンデビリア農務長官を議長とする政府のエルニーニョ対策本部は、ルソンやビサヤ地区などの14州への対策のために8億8218万ペソ(約18億5258万円)を確保したとしている。
この影響は数カ月続くと見られており、一部報道によれば、飼料用トウモロコシの被害の影響で、今後鶏肉、豚肉価格が上昇する懸念もあるという。
フィリピンでは、ダムの貯水率低下により水力発電所の出力が低下し、一部地域では、電力不足も発生している。
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