主要輸出市場の需要・価格低迷により肉牛価格は前年度比4.7%安と予測
豪州農業資源経済局(ABARE)は2009年12月、四半期ごとに行っている農産物需給予測を公表した。これによると、ABAREは2009/10年度(7月〜翌年6月)の肉牛市場取引価格(加重平均家畜市場取引価格:枝肉重量ベース)について、豪ドル高および主要輸出市場における豪州産牛肉に対する需要・価格の低迷を受けて、前年度比4.7%安となる1キログラム当たり282豪セント(237円:1豪ドル=84円)と予測している。ただし、今後天候に恵まれれば、牛群の再構築が進みと畜が減少し、肉牛価格が回復する可能性もあるとみている。その場合、2009/10年度の牛飼養頭数(乳牛含む)は同1.1%増の2,730万頭とわずかに増加すると見込まれ、一方、と畜頭数はわずかに減少し865万頭と予測されている。また、牛肉生産量は、と畜頭数が減少するため、同1.4%減の212万トンと減少する見込みである。
表1 牛飼養頭数、肉牛と畜頭数、牛肉生産量の見通し
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主要輸出先国における牛肉輸入増も豪州からの輸出は減少する見込み
2009/10年度の牛肉輸出量については、前年度比1.9%減の95万トン(船積み重量ベース)と減少が見込まれる。この要因としては、主要輸出先国において、豪ドル高で推移する為替相場により、他国産牛肉との競争が激化することが挙げられる。
主要3カ国の内訳を見ると、日本の牛肉輸入総量は前年に比べ1%程度増加すると見込まれるものの、この輸入増は米国産牛肉によりまかなわれるとみられている。従って、豪州産牛肉の対日輸出量は、2008/09年度は前年度比0.5%減であったが、2009/10年度は同2.2%減とさらに減少し35万5千トンと予測されている。
韓国においても日本同様、牛肉需要の回復が緩やかに進行しており、牛肉輸入総量は前年に比べ3%程度増加すると見込まれる。しかし、この輸入増は米国産でまかなわれ、豪州産牛肉の韓国向け輸出量は、2008/09年度は前年度比22.6%減であったが、2009/10年度は同5.3%減とさらに減少し10万7千トンと予測されている。
米国向け牛肉輸出量は、同11.3%減の25万トンと予測されている。これは、米国において、2008年中旬より乳価維持のため乳牛のとう汰が行われており、自国産加工用牛肉が多く出回っていることに加え、米ドルに対し豪ドル高で推移する為替相場により、豪州産牛肉に対する引き合いは弱いと予測されるためである。
そのほかの市場については、2007/08年度に急激な輸出増を記録したロシア向けは、豪ドル高、同国におけるブラジル産牛肉との競争激化により、2009/10年度は前年度比60%減の1万5千トンと2年連続して減少すると見込まれている。一方、インドネシア向けは、自国産牛肉生産が同国内における強い需要を満たしていないことから、豪ドル高にもかかわらず、同10%増の4万2千トンと大幅に増加すると予測されている。
図4 国別牛肉輸出量の推移
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