2009年牛肉輸出見込み量を上方修正
米国農務省(USDA)が2009年12月17日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2009年の米国牛肉の輸出量(枝肉重量ベース)は、世界経済が回復基調にあること、主要通貨に対して米ドル為替相場が安値で推移したことおよび、日本、ベトナム、中国などアジア向けの輸出が好調なことにより、前月の予測より8千トン、2カ月前の予測より5万1千トン上方修正され、約83万6千トンと見込まれる。しかしながら、前年比では2.4%減と、前回予測と同様、前年を下回っている。一方、2010年の牛肉輸出量は、前年比7.7%増の90万トンと予測され、回復基調にある世界経済において米ドル安が牛肉の輸出をより促進するとみられる。
図1 牛肉輸出量の推移
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日本向けは順調に拡大
USDAによると、2009年1〜10月の米国の牛肉輸出量は前年同期を5.5%下回る69万3千トンとなった。輸出先上位4カ国で全体の7割以上を占める中、最大の輸出先であるメキシコ向けは前年同期比16.0%減の21万3千トン、2位のカナダ向けは9.8%減の13万8千トンと前年を大きく下回る一方、3位の日本向けは16.9%増の10万7千トンとなり、4位のベトナム向けは、13.5%増の5万2千トンと前年を大きく上回っている。また、2008年6月に輸入が再開された韓国向けについては、解禁後急増した前年から大幅に減少し、前年同期比20.1%減の4万6千トンとなった。しかし、10月は前月の2倍を超える輸出となり、今後の動向が期待されている。
図2 主要5カ国の月別輸出量の推移
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期待されるマイナー市場
2009年の米国の牛肉輸出の特徴として、ベトナムをはじめ香港、フィリピンなどのマイナー市場への輸出が拡大していることが挙げられる。中でもエジプト向けは2008年の1〜10月の518トンから、2009年の同期は1万5千99トンと29倍に拡大した。また、香港向けは、う回輸出先と言われる中国での牛肉需要の増加を反映し、1万2千トンから2万9千トンとなり前年から2.4倍拡大している。エジプト、フィリピンなどの市場は人口と収入が増加基調であるため、輸出上位国の日本、韓国が完全には回復しない中、これらの市場が、今後の米国輸出の拡大に貢献すると予想される。
図3 マイナー市場向け輸出量の推
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