全国農業協同組合連合会(全農)は平成21年12月18日、平成22年1〜3月期の配合飼料供給価格について、前期(10〜12月)に対し、全国全畜種総平均トン当たり約500円値下げすると発表した。
平成21年の配合飼料供給価格は、1〜3月期で約12,200円、4〜6月期で約4,200円と2期連続して値下げとなったものの、7〜9月期で約2,800円値上げ、10〜12月期で約1,400円の値上げとなるなど、乱高下を繰り返していた。
また、商系各社、専門農協も配合飼料価格を値下げすると発表しており、値下げ幅は前期比で約100円〜500円となっている。
全農によると、値下げの要因および最近の飼料情勢として、(1)トウモロコシのシカゴ定期は、8月には330セント/ブッシェル前後で推移していたが、作付の遅れにより収穫時期が例年より大幅に遅れ霜害懸念が高まったことや、投機資金の流入により9月以降上昇に転じた。さらには11月10日に発表された米国農務省の需給見通しで生産量が下方修正されたことなどから、現在は400セント/ブッシェル前後で推移している。今後は、堅調なエタノール需要に加え、長雨による収穫の遅延による生産量減少の懸念などから相場は底固く推移するものと見込まれる、(2)海上運賃は、8月下旬には55ドル/トン前後で推移していたが、アジア向けトウモロコシ・大豆の輸出需要の高まりと中国の鉄鋼原料輸送需要が堅調であることから上昇し、現在は同70ドル/トン前後の水準で推移している。今後は、欧州・日本などの鉄鋼生産に回復の兆しが見られることから、海上運賃は堅調に推移するものと見込まれる、(3)外国為替は、米国において、景気の回復の遅れを背景に超低金利政策が長期化するとの見方が強まりドル安円高が進行し、さらに直近ではアラブ首長国連邦ドバイ首長国の信用不安からドルが売られ、現在は90円を下回る水準で推移している。今後は、米国の景気回復には時間がかかると予測されている一方、日本経済の回復も遅れているため、一進一退の相場展開が見込まれる−などを挙げている。
なお、本稿執筆時点(平成22年1月15日)では、米国農務省の需給見通し(平成22年1月12日発表。海外駐在員情報「米国農務省、2009年度の主要穀物の生産見通しを上方修正」http://lin.alic.go.jp/alic/week/2010/us/us20100113.htm参照)において、トウモロコシの生産量が前回予測より2億3000万ブッシェル上方修正されたことを受け、国際価格(シカゴ定期相場)が急落している。同価格の状況は、次期以降の配合飼料価格に大きく影響を及ぼすため、今後も注視していきたい。
(参考1)トウモロコシ、大豆ミールのシカゴ定期相場
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(参考2)海上運賃の推移(ガルフ〜日本)
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