需給動向 海外

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2009年12月のバターの卸売価格、低下基調に転じる


◇絵でみる需給動向◇


2009年12月のバター卸売価格は前月より0.6%低下

 2009年1月から導入されたバターの民間在庫補助をはじめとする欧州委員会の一連の価格支持施策により上昇を続けてきた乳製品の卸売価格の上昇に陰りが見え始めている。ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)が12月末に公表したデータによれば、2009年12月のバターの卸売価格(オランダ:ブランドバター)は100キログラム当たり336ユーロ(約45,024円:1ユーロ=134円)と前月より0.6%低下した。バターの卸売価格は、2009年の夏以降に市場流通量のひっ迫が顕在化し急上昇していたところであるが、バターの輸出補助金が2009年11月20日以降ゼロとされたことに加え、季節的な変動により生乳の生産が増加基調に転じたことが影響したもようだ。

図11 EUにおける乳製品および生乳の価格動向
(2007年1月の値を基準として設定)

脱脂粉乳も価格上昇の鈍化が顕著に

 脱脂粉乳の卸売価格は、前述のバターと比較し上昇の程度が緩やかであったが、同価格の上昇についても鈍化が顕著となっている。ZMBによれば、脱脂粉乳の卸売価格(ドイツ:食品グレード)は、10月から11月にかけて5.1%上昇したものの、12月には100キログラム当たり211.6ユーロ(約28,354円)と前月から1%の上昇にとどまった。また、食品グレードよりも品質が劣る飼料グレード(ドイツ:飼料グレード)については、既に2009年11月をピークとし、12月には卸売価格が1%低下している状況にある。

2009年11月の平均生乳価格は前月より0.87ユーロセント上昇

 また、LTO(オランダ農業園芸組織連合会)が2010年1月8日に公表したデータによれば、2009年11月時点の域内大手16社における生乳価格(単純平均値)は、1キログラム当たり27.93ユーロセント(約37.4円)と前月よりも0.87ユーロセント(約1.2円)上昇した。この値は、2009年4月の23.74ユーロセント(約31.8円)を底として着実に回復しているものの、例年春先には底値を迎えるという季節変動が観察されていることから、今後の動向が注目される。

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