1.2011年後半から飼養頭数は回復
2011年の豚の飼養動向等をみると、肥育豚の導入頭数は、豚肉の小売価格の高騰等を背景に、9月まで前年を上回る水準で推移したため、前年比2.4%増の5億4572万頭となった。
出荷頭数は6月まで、口蹄疫(FMD)、流行性下痢(PED)及び豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)など伝染性疾病の発生の影響により、前年を下回る水準で推移した。ただ、前半に出荷頭数が低迷したことにより、市場で供給不足となり小売価格の高騰を招いた。このため、生産者の生産意欲が高まり、増頭が進んだことにより、7月以降出荷頭数は緩やかに上昇基調となった。なお、飼養頭数は7月以降の増頭を受け、前年比1.1%増の49億2807万頭(平均4億1067万頭)となった。
直近の動向をみると、2012年1月と2月の導入頭数は、それぞれ4127万頭と3972万頭、出荷頭数は4032万頭と3999万頭、飼養頭数は4億1448万頭と4億1421万頭であった。
2011年の豚肉小売価格をみると、需給のひっ迫や穀物価格の上昇による生産コストの増加等を背景に、全ての月で前年を上回る水準で推移した(6月は前年同月比54.0%高)。9月には、1キログラム当たり34.65元(約457円:1元=13.18円)まで上昇し(4月の26.89元(約354円)から28.9%高)、15カ月連続で前月を上回った。直近の動向をみると、1月は32.77元(約432円)、2月は32.49元(約428円)と依然として高水準である。しかしながら、現地報道をみると、4月下旬まで11週連続で豚肉価格が下落し続けている。政府は、価格安定を目的に、豚肉の在庫買入を開始するとされている。
図18 豚の導入頭数及び出荷頭数の推移 (月別)
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資料:中国農業科学院 (注:上記頭数は、繁殖用・肥育用を含む)
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図19 豚の飼養頭数の推移 (月別)
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資料:中国農業科学院 (注:上記頭数は、繁殖用・肥育用を含む)
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図20 豚肉の小売価格の推移(月別)
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資料:国家発展開発委員会
注1:主要都市の小売市場における豚肉(赤身肉)の価格
2:2012年3月以降は機構による推測
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図21 豚肉の生産量と消費量の推移(月別)
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資料:中国農業科学院
注:枝肉ベース
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2.米国産を主体に冷凍豚肉の輸入が急増
2011年の冷凍豚肉輸入量をみると、国内小売価格の高騰等を受け、米国産を主体に前年の約2.3倍の46.7万トンと大幅に増加した。
輸入国別にみると、2011年5月からの豚肉小売価格の上昇に合わせて、米国産が急増し、前年比で8倍超の25.2万トンとなった。
米国農務省(USDA)によると、2011年の豚肉価格の高騰時にも、政府は、外国産豚肉の輸入を加速し、市場に供給したとみられる。これは、豚肉が国民の主食であるため、豚肉の価格高騰は物価の上昇に大きな影響を及ぼすためである。
なお、2012年第1四半期も輸入量の増加傾向は持続し、前年同期比123.4%増の14.6万トンとなった。
2011年のソーセージ輸出量は、前年比3.5%減の3.2万トンと減少した。2012年第1四半期においては、主要輸出先である日本向けが前年同期比28.3%増加となったため、全体で14.6%増となった。
表10 冷凍豚肉の国別輸入量
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資料:GTI社 「World Trade Atlas」
注:HSコード0203
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図22 冷凍豚肉の輸入量の推移(月別)
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資料:GTI社 「World Trade Atlas」
注:HSコード0203
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表11 ソーセージの国別輸出量
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資料:GTI社 「World Trade Atlas」
注:HSコード1601
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図23 ソーセージの輸出量の推移(月別)
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資料:GTI社 「World Trade Atlas」
注:HSコード1601
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