需給動向 海外

◆豪 州◆

2012年3月の牛肉輸出量、米国向けが36カ月振りに日本向けを上回る


◇絵でみる需給動向◇


 豪州農漁林業省(DAFF)によると、2012年3月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積み重量ベース)は6カ月振りに前年同月から減少に転じて、8万3373トン(前年同月比4.6%減)となった。日本向け(2万5028トン、同21.4%減)および韓国向け(7,921トン、同52.2%減)が減少した一方、米国向け(2万6786トン、同72.7%増)は大幅に増加し、36カ月振りに日本向けを上回り、最大となった。

図1 牛肉輸出量の推移
資料:DAFF
 注:子牛肉含む、船積み重量ベース

米国向け、加工用牛肉が前年同月比2倍強の伸び

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、米国向けの増加要因は、冷凍加工用牛肉の大幅増(3月は2万21トン、前年同月比で2倍強)である。これは、米国牛肉市場で年明け以降、国内産よりも安価な豪州産加工用牛肉への需要が強まっていることによる。

 米国では、干ばつの影響による国内生産の減少に加えて、日本や韓国を中心に海外市場からの引き合いが強まっていることから、国内市場向けの供給がひっ迫している。この影響で、国産牛肉価格は高止まりの状況にある。3月の米国国内の国産牛肉平均価格(冷蔵・90CL)は、前年同月比11.3%高のポンド当たり219.6米セント(キログラム当たり402円:1米ドル=83円)となった。一方、同月の米国向け豪州産牛肉の平均CIF価格(冷凍・経産牛・90CL)は、同5.7%高の同210米セント(同384円)であった。

 加工用牛肉の米国向けの増加は、日本向けの牛肉輸出にも影響を与えた。2011年以降、豪州産の日本向け輸出は、ドル安の恩恵による米国産の輸入増から、減少傾向で推移しているものの、加工用牛肉輸出は、外食産業からの堅調な需要により、伸びを見せていた。しかしながら、年明け以降、日本向けの加工用牛肉輸出は米国からの強い需要を背景に減少しており、3月の日本向け輸出量は、全体の4割以上を占める冷凍グラスフェッド牛肉が前年同月比16%減となった。


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