と畜頭数は前年同期を下回る チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、8月のと畜頭数は、対前年同月比17.8パーセント減の46万8000頭となり、4カ月連続で前年同月を下回った(図13)。2013年1〜8月の肉豚と畜頭数は、前年同期比6.6パーセント減の372万7000頭となった。また、豚肉生産量(枝肉換算ベース)は、同4.3パーセント減の37万4000トンとなった。これは、2012年5月に、チリ最大手の豚肉生産企業であるAGROSUPER社の一部生産拠点が環境問題を引き起こし、当該生産拠点を閉鎖した。それに伴い、2013年1月までに多くの母豚がと畜された影響による。
図13 豚と畜頭数の推移
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資料:ODEPA
注:2012年9月は、例年よりも祝日が多く、工場稼働日が少なかったため、
と畜頭数は減少。
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生産者販売価格は前年を下回る水準
2013年9月の豚肉生産者販売価格は、前年同月比11.4パーセント安のキログラム当たり1.40米ドル(140円:1米ドル=100円)となった(図14)。また、1〜9月までの平均生産者販売価格は前年同期よりも低く推移している。これは、米国産、カナダ産をはじめとした安価な外国産豚肉の輸入量が増加したことで、国産豚肉の需要が低下し、価格の低下につながったと見られる。
図14 豚肉生産者販売価格の推移
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資料:ODEPA
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1人当たり豚肉消費量の伸びが顕著
1人当たり食肉消費量の推移をみると、2012年に最も消費が多かったのは鶏肉であり、次いで、豚肉、牛肉の順であった(図15)。最近10年間で最も消費量が増えた食肉は豚肉で、41.4パーセント増(鶏肉は33.6%増、牛肉は3.0%減)となった。豚肉の消費が伸びた理由としては、同期間において生産者販売価格の上昇率が豚肉は62パーセントであったのに対し、牛肉は152パーセント、鶏肉は103パーセント上昇したことから豚肉に割安感があったことや、大手豚肉生産メーカーによる消費促進活動が実を結んだことが考えられる。
図15 食肉の年間1人当たり消費量の推移
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資料:ODEPA
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日本および中国向け輸出は増加するも、韓国向けは減少
2013年1〜9月の豚肉輸出量は前年同期比6.5パーセント減の9万682トンとなった(表3)。主要な輸出先国は日本と韓国で、両国向け輸出量の合計は全輸出量の46.8パーセントを占めた。2013年は日本への輸出が伸びた一方、韓国への輸出が減少したため、昨年と順位が逆転した。
表3 豚肉の輸出先上位5カ国(2013年1−9月期)
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資料:ODEPA
注:製品重量ベース
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日本向けは、平均輸出単価がトン当たり5,363ドル(53万6000円)と最も高く、韓国向けの同3,392ドル(33万9000円)と比べると約1.6倍の価格である。また、中国向けには、1万4503トン輸出しており、これは前年同期比で約2.2倍と大幅に増加している。
一方、輸入量は引き続き増加しており、1〜9月までの累計は前年同期比87.7パーセント増の2万3743トンを記録した(図16)。これは、前述のとおり、米国産を中心とした安価な外国産豚肉の流入で国産豚肉のシェアが奪われている状況を表している。
このため、チリ養豚生産者協会(ASPROCER)は輸入豚肉の増加を受け、政府に対してセーフガード措置の申請を行っていた。しかし、10月に入り、この申請は却下されたため、今後、国産豚肉の状況は、より厳しくなることが見込まれる。
図16 豚肉輸入量の推移
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資料:ODEPA
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(調査情報部 米元 健太) |