9月の牛肉輸出量、日本向けを除いて好調
豪州農漁林業省(DAFF)によると、2013年9月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積重量ベース)は9万4923トン(前年同月比18.8%増)となった(表2)。豪ドルの対米ドル為替相場は、前月と比べて高値(9月平均:前月比4.0%高)で推移したため、価格競争力はやや弱まったものの、依然、堅調な引き合いから、輸出量は高水準を保った。
主要輸出先別では、日本向けが2万1766トン(同3.9%減)と減少する一方、米国向けが1万9560トン(同9.6%増)、中国向けが1万4522トン(同3.6倍)、韓国向けが1万2671トン(同7.8%増)と、日本向け以外はいずれも増加となった。しかしながら、中国向けの内訳を見ると、冷凍が1万4484トン(同3.7倍)と大幅に増加したものの、冷蔵は38トン(同71.4%減)と激減した(図5)。報道によると、中国は8月末より、品質管理上の問題から豪州産冷蔵牛肉を輸入停止しているとされている。
表2 2013年9月の牛肉輸出先上位10カ国・地域
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資料:DAFF
注 1:船積重量ベース
注 2:CISはロシア他 |
図5 中国向け冷蔵および冷凍の月別推移(2013年) |
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資料:DAFF |
2013/14年度の牛肉輸出量は前年度比5.5パーセント増の見通し
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は9月、四半期ごとの肉牛産業の見通しを公表した(表3)。これによると、2013/14年度(7月〜翌6月)の家畜市場における生体取引価格は、キログラム当たり305豪セント(前年度比2.7%高、284円:1豪ドル=93円)と、前回6月時点での予測から上方修正された。これは、高温乾燥が長期間続いた豪州南部の天候が6月頃から改善し、肉牛生産者からの肥育もと牛需要が回復したことによるものである。また、中国やサウジアラビアなどからの堅調な輸出需要も、生体取引価格の上昇要因に挙げている。
牛と畜頭数および牛肉生産量については、それぞれ870万頭(同2.9%増)、230万トン(同2.4%増)と見込んでいる。南部では天候が回復しているものの、クイーンズランド州内陸部などでいまだ干ばつが継続していることを受けて、いずれも前回予測から据え置かれている。
牛肉輸出量も前回から据え置かれ、107万トン(同5.5%増)と見込んでいる。うち、日本向けは前年度から4.6パーセントの減少を見込む一方で、米国向け、韓国向け、中国向けは増加の見通しとなっている。中国の輸入増加の要因の一つとされる中国国内での牛肉価格の高騰は、豪州およびNZからの輸出増加により、緩和したとされているが、中国政府は2012年12月以降、BSE発生を理由にブラジル産牛肉の輸入を禁止している。この影響により、ABARESでは、豪州産の中国向け輸出は2013/14年度を通して好調に推移すると見込んでいる。
表3 2013/14年度の肉牛産業の見通し |
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資料:ABARES
注 1:年度は7月〜翌6月
注 2:肉牛飼養頭数は6月末時点
注 3:2011/12年度および2012/13年度の牛肉輸出量はDAFFの公表数値
注 4:牛肉生産量および家畜市場取引価格は枝肉重量ベース、牛肉輸出量は船積重量ベース
注 5:( )内の数値は前回予測(6月)時点における推計値、予測値 |
(調査情報部 伊藤 久美)
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