需給動向 海外

◆チ リ◆

2012年の牛肉生産量は回復傾向


2012年のと畜頭数は前年比5.1パーセント増

 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)が公表したレポートによると、2012年の牛肉生産量は前年比3.5パーセント増の19万7571トン(枝肉ベース)、と畜頭数は同5.1パーセント増の76万2129頭となった。と畜頭数の内訳を見ると、去勢肥育牛が全体の53.7パーセントを占めている。去勢肥育牛のと畜割合は、2010年後半から増加が顕著となり、これは雌牛の保留が続いているためとみられている。また、経産牛が23.9パーセント、未経産牛が16.1パーセントを占めており、前年と比較すると経産牛が4.5パーセント増、未経産牛が1.4パーセント増となっている(図9)。
図9 と畜頭数の推移
資料:ODEPA
 なお、2013年1〜7月について、生産量は前年同期比3.2パーセント増の12万112トン、と畜頭数は同1.9パーセント増の45万9409頭となった。

 15年前は、首都圏近郊で全体の44.7パーセントがと畜されていたが、2012年は主要飼養地域(首都から南下した位置にある第8〜11州)でのと畜が64.1パーセントになるなど、インフラ整備が進んだことで、消費地型から生産地型へと移行している。

メルコスルからの輸入が8割を占める

 2012年の牛肉輸入量は、前年比3.8パーセント増の13万323トン(製品重量ベース)、輸入額は同3.5パーセント増の8億630万米ドル(CIFベース、790億円:1米ドル=98円)となった。

 主要相手国はブラジルで、輸入量の48.5パーセントを占め、次いでアルゼンチンが21.0パーセント、続いてウルグアイ12.3パーセントと南米南部共同市場(メルコスル)加盟国からの輸入が8割を占めている(図10)。パラグアイについては、チリにとって主要な輸入元であったが、2011年に口蹄疫が発生し、輸入を一時的に停止したため、その割合が減少した。パラグアイからの輸入は2013年から再開されたが、ブラジルをはじめとする他の国が補完したことで、これまでのシェアを取り戻すには至っていない。

 2013年1〜8月の輸入量は、同19.9パーセント増の9万7025トンとなり、そのうちブラジルが51.1パーセントを占めている。また、豪州は2012年には12.1パーセントあった割合を2013年1〜8月には4.1パーセントまで低下させている。一方で、輸入が再開されたパラグアイが4.8パーセントを占めている。
図10 国別輸入量割合
資料:ODEPA

アジア向けの輸出拡大に期待

 チリの国内生産量は大きくなく、国内消費量の約5割を占めるにすぎない。このため、輸出は、チリの優れた衛生条件を高く評価する比較的厳しい要件の市場に向けて行われる。2012年は韓国が市場を開放し、400トン(冷凍200トン、冷蔵200トン)の関税割当を与えている。

 2012年の輸出量は、ペソ高となったことなどから前年比53.0パーセント減の1,902トン(製品重量ベース)、輸出額は同44.2パーセント減の1689万米ドル(FOBベース、16億5000万円)となった。

 また、2013年1〜8月の輸出量は、同0.5パーセント減の1,214トン、輸出額は同36.0パーセント減の702万米ドル(6億9000万円)であった。

 なお、ODEPAでは、中国の市場を開放するプロセスが完了したこと、前年に市場開放となった韓国への最初の輸出が第9州から行われたことなどから、近い将来、アジア市場が拡大されるものとみている。

                                      (調査情報部 横打 友恵)


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