カナダ統計局(Statistics Canada)が8月22日に公表した牛の飼養動向調査結果によると、2013年7月1日現在の総飼養頭数は、前年同期比0.1パーセント増の1354万頭となった(図3)。内訳を見ると、酪農経営では194万1500頭(同0.3%減)、肉用牛経営では1159万頭8500頭(同0.2%増)となった。
肉用牛飼養頭数(繁殖牛および繁殖用後継雌牛を除く)を見ると、2012年は、7年ぶりに前年を上回ったものの、2013年は前年同期比0.4パーセント減の393万9400頭となった。一方、繁殖用後継雌牛については、同0.7パーセント増の67万3900頭となり、3年連続で前年同期を上回った。今後、現在のように繁殖用後継牛が増加傾向となった場合、同国のキャトルサイクルは、増加期に移行するものとみられる。
図3 カナダの牛飼養頭数の推移
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資料:Statistics Canada
注 1:各年7月1日現在の飼養頭数
注 2:肉牛飼養頭数は、繁殖に供する牛および肉用後継雌牛除く
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2013年の生体牛輸出は前年を上回る見込み
カナダの生体牛輸出は、ホルスタインの種雄牛を除き、米国が主な輸出先となっている。2012年の生体牛輸出頭数は、同国の飼育頭数減少や米ドルに対するカナダドル高の影響により、前年を下回っている。他方、2008年9月末から義務付けられた米国の義務原産地表示(Country of Origin Labeling : COOL)※が世界貿易機関(WTO)の上級パネルで協定違反とされ、米国農務省(USDA)が規定を改正したが、今後、この改正規定が再度違反と判定された場合、カナダは対抗措置を取ると明言している。対抗措置が取られた場合、米国はカナダ向け輸出に幅広く影響するおそれがある。これを避けるためにUSDAがCOOLを取り下げるかどうかが、今後のカナダの生体牛輸出頭数の動向を左右するものとみられる。
※米国の義務原産地表示(Country of Origin Labeling : COOL)は、2008年農業法の成立を受けて、牛肉、ラム肉、豚肉、鶏肉、ヤギ肉などについて2008年9月30日から原産地表示が義務化された。原産地表示の義務化は、と畜解体などの工程において区分処理などの新たな作業を発生させることから、義務化以降、米国の食肉パッカーがカナダの豚や牛の購入を控えたため、カナダから米国への輸出が激減する事態となった。
カナダ農務・農産食品省の生体牛輸出頭数の報告によると、9月は前年同月比14.5パーセント減の5万5300頭と単月では落ち込んだものの、1〜9月では、同29.4パーセント増の71万頭となった(図4)。内訳を見ると、輸出の大半を占めると畜直行牛は、同17.4パーセント増の51万頭となっており、肥育もと牛は同77.1パーセント増の19万3000頭と、米国は国内の肉用牛頭数減少の影響をカナダからの生体牛輸入で補完する構造となっている。
図4 生体牛輸出頭数の推移
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資料:Statistics Canada
注:乳用牛は、その他に含む
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(調査情報部 山神 尭基)
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