需給動向 海外

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2013年の肉用牛飼養頭数は減少、一方、牛肉輸出は米国や中国向けがけん引し増加


肉用牛飼養頭数は前年に引き続き、わずかに減少

 ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)によると、2013年6月末時点の肉用牛飼養頭数は368万6000頭(前年同期比1.3%減)と、前年に引き続き減少を見込んでいる(図6)。特に、飼養頭数の7割を占める北島では、ニュージーランド(NZ)の夏となる2013年初頭に深刻な干ばつに見舞われた影響で、早期とう汰が行われた。このため、飼養頭数は同2.5パーセント減となった。NZ全体で見ると、肉用繁殖雌牛の飼養頭数は105万4000頭(同0.5%減)と、わずかな減少にとどまっている。

 BLNZは、秋以降の天候回復に伴う飼養環境の改善から、干ばつによる肉用牛飼養頭数の減少に歯止めがかかるものとみている。

図6 肉用牛飼養頭数の推移
資料:BLNZ
注 1:各年6月末時点
注 2:2013年は推計

2013年1〜3月と畜頭数、前年の2倍に

 NZ統計局(Statistics NZ)によると、2013年1〜8月の牛と畜頭数(乳用牛含む)は178万4079頭(前年同期比6.1%増)、うち繁殖雌牛(乳用牛含む)は78万451頭(同26.2%増)となった。

 NZでは、例年、生乳生産のシーズンが終了する5月頃に、乳用牛の出荷が増加し、と畜頭数はピークを迎える。しかし、今年は干ばつの影響で酪農家が搾乳期間を短縮し、廃用乳牛の出荷を早めたことから、1〜3月の繁殖雌牛と畜頭数合計は34万7101頭(同97.9%増)と、前年の2倍近くの水準となった。

 5月以降は、天候の回復による出荷抑制や早期出荷による反動から、と畜頭数はおおむね前年同月を下回って推移している(図7)。

図7 牛と畜頭数の月別推移
資料:Statistics NZ
  注:乳用牛を含む

2013年1〜8月の牛肉輸出量は前年同期比3.8パーセント増

 牛肉輸出量は、と畜頭数の増加に伴い2013年初頭に大幅に増加し、2013年1〜8月は27万8696トン(前年同期比3.8%増)となった(表4)。国別では、米国向けが13万4757トン(同4.0%増)、次いで中国向けが2万9747トン(同6.9倍)、日本向けが2万2768トン(同5.2%減)、韓国向けが1万7442トン(同14.6%減)となった。
表4 2013年1〜8月の牛肉輸出先上位10カ国
資料:Statistics NZ
  注:HSコード「0201.00」「0202.00」
 加工用が大半の米国向けは、繁殖雌牛のと畜増から、1〜3月合計では前年同期比38.1パーセント増と大幅に伸びたが、4月以降はと畜頭数の減少とともに、減少に転じている。

 中国向けは2012年12月以降、おおむね日本向けや韓国向けを上回る水準で推移している。輸出単価も、中国向けは2013年以降、韓国向けを上回っており(図8)、NZの現地関係者は、韓国向けの減少には、輸出部位が競合する中国向けの増加が影響しているとみている。
図8 冷凍牛肉の輸出単価(FOB)の国別比較
資料:Statistics NZ
  注:HSコード「0202.00」
 ただし、中国では2013年5月以降、NZ側が発行する輸出証明書の様式の変更による混乱などから、NZ産牛肉が通関で一時的に差し止められる状況がたびたび発生しており、5月以降の中国向け輸出に停滞がみられる。

                                      (調査情報部 伊藤 久美)

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