需給動向 国内

◆鶏 肉◆

推定期末在庫、国産品・輸入品共に低水準で推移


 平成25年8月の推定期末在庫は13万1266トン(前月比1.8%減)で、うち国産品は2万9494トン(同5.3%減)、輸入品は10万1772トン(同0.7%減)となった(図7、図8)。平成24年の在庫量が高水準であった反動もあり、国産品在庫は8カ月連続、輸入品は10カ月連続で前年同月を下回った。さらに7月には国産品、輸入品共に過去5年平均比においても減少に転じ、8月にはかなり低い水準となっている。

図7 国産品推定期末在庫

資料:農畜産業振興機構調べ

図8 輸入品推定期末在庫

資料:農畜産業振興機構調べ

年内の需給見通しは前月と変わらず

 8月の国内生産量は、11万3054トン(前年同月比0.1%減)と前年並みであった。一般社団法人日本食鳥協会が実施している「生産・処理動向調査」によると、10月の生体処理重量は前年同月比0.6パーセント減、11月は同0.3パーセント減と、微減の見通しとなっている。猛暑の影響による種鶏の熱死や産卵率低下からひな不足が懸念されるとともに、ひな不足を補うために、規格外卵から生まれたひなを育雛に供したことから、その増体や育成率への懸念もあり、国内生産量がさらに下振れするとの見方もある。

 8月の輸入量は、為替相場の円安傾向などが継続していることから、3万2270トン(同15.5%減)と前年をかなり大きく下回った。例年、この時期から最需要期に向けた手当てが始まるものの、為替相場の円安傾向や現地相場高が変わらなければ、年内においては輸入量が前年を下回ることが懸念される。

 また、鶏肉消費量の約4割を占める家計消費量を見ると、依然として高水準で推移している(図9、図10)。例年、10月には量販店の商品が秋冬向けに切り替わり、気温の低下とともに鍋物需要が見込まれるようになる。気象庁によると10〜12月の気温は平年並みの予報となっており、年内における家計消費はこのまま堅調に推移するとみられる。

図9 鶏肉家計消費数量 (全国一人当たり)

資料:総務省「家計調査報告」を基に、全国一人当たり家計消費数量を算出した。

図10 鶏肉家計消費金額 (全国一人当たり)

資料:総務省「家計調査報告」を基に、全国一人当たり家計消費金額を算出した。

需要期に向けた在庫量に注視

 前述のとおり、8月の推定期末在庫量が低水準であるにもかかわらず、年内における国内生産量や輸入量は増加が見込まれず、また、消費が堅調に推移するとみられることから、今後も国産品、輸入品共に在庫の取り崩しが一層進む可能性が高いと推測される。在庫量は卸売価格に対して大きな影響を与えることから、需要期に向けた在庫量の推移について注視していく必要がある。

                                      (畜産需給部 山口 真功)

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