需給動向 海外

◆米 国◆

連邦政府の閉鎖により、穀物需給見通し公表を延期


 つなぎ予算法案(CR)が、医療保険をめぐる与野党の対立から年度末(9月30日)までに成立しなかったことから、ほとんどの連邦政府機関が閉鎖を余儀なくされた。このため、米国農務省(USDA)は10月1日、食肉検査や穀物検査を除く全ての業務(統計サービスおよび需給見通しなど)を停止した。

 10月17日、債務上限の引き上げが議会で可決されたことにより、政府機関の活動が再開された。しかし、USDAは同日付でプレスリリースを公表し、閉鎖の影響により、過去数週間の農作物などの統計データが収集できなかったことから、10月11日に予定されていた今月の世界農産物需給見通しの公表を取りやめた。なお、次回の同報告書の公表は11月8日を予定している。

トウモロコシの在庫量(旧穀)は過去最低水準

 業務停止に先立ち、USDAが9月30日に公表した2013年9月1日現在の飼料穀物の在庫量によると、トウモロコシの期首在庫は前年度比16.7パーセント減の8億2364万ブッシェル(2092万トン)と過去最低水準となった(表15)。在庫形態別には、トウモロコシ生産農家の在庫(自家サイロに貯蔵)が同12.3パーセント減の2億7500万ブッシェル(699万トン)、農家以外の在庫(カントリーエレベータなど)が同18.8パーセント減の5億4864万ブッシェル(1394万トン)といずれも減少した。また、州別には、主要生産州のうち、インディア州が同43.3%減と最も減少幅が大きく、次いで、イリノイ州(同17.2%減)、ネブラスカ州(同15.4%減)となった。今回の期首在庫見通しは、前年度を下回ってはいるものの、市場関係者の予想は上回ったことから、トウモロコシ先物市場価格への影響はわずかであった。

 米国の農畜産物調査会社であるインフォーマ社によると、旧穀トウモロコシの在庫量が市場の予想を上回った要因として、コーンベルト地帯以外の南部諸州での収穫が順調に行われたため、コーンベルト地帯での高い現物価格による旧穀の使用が嫌われ、結果として、需要が新穀トウモロコシに向かったためではないかとしている。

表15 米国のトウモロコシ在庫量の推移(2013年9月30日米国農務省公表)
資料:USDA

民間調査会社、USDAの前月予測を上回るトウモロコシ生産見込みを公表

 インフォーマ社が公表した2013/14年度(9月〜翌8月)のトウモロコシの生産見通しによると、トウモロコシの生産量は140億ブッシェル(3億5560万トン)と市場関係者の予想を上回った。生産見通しの増加の要因としては、単収がUSDAの予測値(エーカー当たり155.3ブッシェル/9月12日)を同3.5ブッシェル上回る同158.8ブッシェルと見込んでいることが挙げられる。また、同社は、特に北西部で降雨などにより収穫作業が遅れているが、この遅延が生産量に与える影響は小さいとしている。

                                      (調査情報部 山神 尭基)


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