需給動向 海外

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生乳生産、12カ月ぶりに前年上回る


国際需給を反映し、乳価は堅調

 オランダ農業園芸組織連合会(LTO)によると、EU域内主要乳業メーカー17社の8月の平均生乳価格は、100キログラム当たり38.79ユーロ(5,159円:1ユーロ=133円)となり、前年同月比18.6パーセント高となった。EUでは、生乳生産の減少に加え、国際市場での乳製品価格高騰により乳価が堅調に推移している(図23)。
図23 EUの生乳価格の推移

資料:LTO
  注:域内主要乳業17社の平均値
 7月の生乳出荷量は、前年同月比2.0パーセント増の1億2300万トンとなり、12カ月ぶりに前年を上回った(図24)。ドイツ乳製品市場価格情報センター(ZMB)によると、欧州全体でおおむね天候が良好であったため、生乳生産が大幅に改善されたとしている。しかし、生乳生産の回復は、旧加盟国(EU15)と新加盟国(EU12)で違いがみられ、旧加盟国では前年同月比2.3パーセント増の回復であったのに対し、新加盟国では同0.5パーセント増とわずかな回復となった。旧加盟国のうち特に大幅な回復をみせたのは、オランダとアイルランドで、同7.5パーセント増となった。
図24 EU(28カ国)の生乳出荷量
資料:ZMB
  注:2013年は暫定数値

 大幅な回復の背景には、穀物生産が前年と比べて増加の予測が発表されたこと、乳価が堅調に推移していること、今後も乳製品市場は需給ひっ迫の見込みであることなどの理由により、生産者の生産意欲が高まっていることがある。2013年下半期は、天候も良好の予報のため生乳生産は順調に進むとみられており、生乳生産量は前年を上回って推移する見込みである。

2012/13年度の生乳クオータ超過国は5カ国

 EUでは、生乳の過剰生産を防ぐため、各加盟国に生乳クオータ量が設定されている。この生乳クオータを超過した場合、課徴金(超過分100キログラム当たり27.83ユーロ(3,701円))が課せられる。

 欧州委員会は10月1日、2012/13年度の生乳供給実績を公表した(表10)。2012/13年度生乳クオータを超過した国は、オーストリア、ドイツ、デンマーク、ポーランドおよびキプロスの5カ国となり、前年度の6カ国から1カ国減少した。当該5カ国の課徴金額は、前年度比5.8パーセント減の4555万5000ユーロ(60億5881万円)となった。

 近年の動向として、加盟国間のクオータ達成率に格差が広がってきており、達成率が高いもしくは超過してしまう国(イタリア、オーストリア、ドイツおよびオランダなど)と達成率が低い国(ブルガリア、ルーマニアおよびハンガリーなど)に分かれ、EUの中で生乳生産の二極化が進んでいることがうかがえる。

(詳細は、機構HP海外情報「欧州委、12/13年度の生乳供給実績を公表」2013年10月3日公表を参照)
表10 生乳クオータ(2012/13年度)

資料:欧州委員会

生乳生産減少を受け、脱脂粉乳生産量は大幅減

 8月に入りEUの生乳生産はようやく前年を上回ったものの、2013年上半期の生乳生産量は、前年同期比1.3パーセント減となった。このため、乳製品の生産量も全ての品目で前年を下回った。乳製品のうち減少率が高かったのは、脱脂粉乳で同10.7パーセント減、クリーム同3.7パーセント減であった(表11)。一方、飲用乳は同0.4パーセント減、チーズ同0.1パーセント減、生鮮乳製品同1.3パーセント減と減少率は低く、需要の高い乳製品が優先的に生産されている。
表11 EU(28カ国)の乳製品生産量
資料:ZMB
  注:前年同期比は、うるう年(2012年)の調整を行っている。
 脱脂粉乳の生産量を国別でみると、主要生産国のフランスで同19.6パーセント減、ドイツで同6.3パーセント減とかなり大きく減少している(表12)。国際市場を見ると、EUのみならず米国やNZをはじめ主な輸出国の脱脂粉乳の生産量は減少した。しかし、輸出量をみると、国際市場価格の堅調な推移を反映し、増加している国が多く、米国は前年同期比15.9パーセント増、NZは同13.1パーセント増となった(表13、図25)。一方で、EUは、本来ならEU産脱脂粉乳の価格競争力は高まっているものの、生産量減少により同30.7パーセント減となった。
表12 EU(28カ国)の脱脂粉乳生産量
資料:ZMB
  注:前年同期比は、うるう年(2012年)の調整を行っている。
表13 主要輸出国の脱脂粉乳輸出量
資料:ZMB
図25 脱脂粉乳の国際価格の推移
資料:ZMB

                                    (調査情報部 矢野 麻未子)


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