需給動向 海外

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全粉乳相場、上昇基調が継続


2013/14年度(6月〜翌5月)の生乳生産、前年度を下回ってスタート

 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2013年6〜7月の生乳生産量は、30万7000トン(前年同期比5.8%減)となった(図28)。生乳生産量は6カ月連続で前年同月を下回っており、夏期(1〜2月頃)の干ばつ以降、減少傾向が継続している。ただし、ニュージーランド(NZ)の生乳生産は季節搾乳体系であり、例年6、7月の生乳生産は極めて少なく、この減少が乳製品需給に与える影響は限定的とみられる。

 NZ証券取引所の調査によると、今後の生乳生産に影響を与える8月の牧草の生育状況は、過去10年の平均と比べて良好であり、その傾向は9月も継続すると見込まれており、生乳生産環境は回復傾向にある。

図28 生乳生産量の推移
資料:DCANZ
  注:年度は6月〜翌5月

主要乳製品の輸出量、いずれも前年比減

 2013年7〜8月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が4万1000トン(前年同期比19.8%減)、全粉乳は10万トン(同51.4%減)、バターは4万9000トン(同24.4%減)、チーズは3万8000トン(同17.3%減)と、いずれも前年同期を下回った(図29)。これは、前年同期は、堅調な生乳生産を背景に輸出が好調であったこと、今年度は、夏期の干ばつの影響から、前年同期に比べ供給余力が低いことなどが背景にある。
図29 乳製品輸出量の推移(7〜8月)
資料:Statistics NZ

国際相場、全粉乳は上昇基調、脱脂粉乳は横ばいで推移

 10月1日に開催された、国際相場の指標の一つとされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)によると、脱脂粉乳の平均価格は、トン当たり4,491米ドル(44万118円:1米ドル=98円、前年同期比35.7%高、前回比3.7%高)、全粉乳は同5,208米ドル(51万384円、前年同期比64.5%高、前回比2.2%高)となった(図30)。ともに前年同期を大幅に上回る水準を維持しているものの、全粉乳は中国などアジア諸国の需要を背景に上昇する一方、脱脂粉乳は米国やEUなどとの競合を背景に、横ばいで推移している(図30)。
図30 GDTにおける脱脂粉乳および全粉乳相場の推移
資料:GDT

フォンテラ社、2013/14年度は生乳生産の増加を見込む

 9月下旬、NZ国内集乳量の約9割を占める最大手の乳業会社であるフォンテラ社は、生産者への支払乳価見込みを50セント引上げ、乳固形分1キログラム当たり8.3NZドル(689円:1NZドル=83円)にすると発表した。同社によると、乳製品の国際相場が高値で推移しており、特に中国をはじめとしたアジア諸国からの全粉乳への需要が堅調であることを理由としている。

 また、同社は、2013/14年度(6月〜翌5月)の生乳生産量について、前年度を5パーセント程度上回ると見込んでいる。これは、年度当初の6〜8月にかけての気象条件や牧草の生育状況が良好なことや、前年度を上回る乳価を設定していることで、酪農経営者の増産意欲の高まりが見込まれることが背景にある。

                                       (調査情報部 根本 悠)

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