需給動向 国内

◆豚 肉◆

豚枝肉卸売価格、依然として高値で推移


例年とは異なる動き、輸入品の物量不足に起因

 今年度の豚枝肉卸売価格(省令価格)は、堅調な推移をみせている。同価格は、例年、6月に最高値を付け、その後は生産量の増加に伴い低下傾向となるが、本年においては、6月に低下、7・8月と2カ月連続で上昇するという、例年と異なる動きとなった。その後9月に入り、例年通り低下に転じたものの、この時期としては高水準で推移している(図5)。

 7・8月の上昇は、景気回復の期待感に伴う家計消費の増加、焼肉店をはじめとした好調な外食産業の需要などが背景にある。これに加え、輸入通関審査の充実化、為替相場の円安傾向のほか、現地相場高による冷凍豚肉輸入量の減少が継続し、国産豚肉への代替需要が高まっていることが後押ししたと考えられる。

 9月の相場は、生産量の増加に伴って低下に転じたものの、7・8月同様に国産豚肉の需要が継続していることから、キログラム当たり514円(前年同月比65円高)と、例年にない高値(注)となった。

注:口蹄疫発生を受け、豚肉生産量が減少した平成22年を除く。

図5 豚枝肉卸売価格、豚肉生産量の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」、「食肉鶏卵速報」
  注:豚枝肉卸売価格は、東京・大阪市場の省令規格加重平均値。平成25年9月は速報値。

輸入冷凍品仲間相場、上昇傾向が継続

 国産枝肉相場が堅調に推移する中、輸入品仲間相場の上昇基調も継続している。当機構の輸入豚肉卸売価格(仲間相場)調査によると、8月の冷蔵品は、ある程度売り先が定まっており、納入価格も中長期契約されているケースが多い米国産「ロース」がキログラム当たり603円(前年同月比0.4%高)と横ばいで推移しているのに対し、米国産「ばら」については、米国で「ばら」(ベーコン)を利用した外食メニューが好調で、その影響により現地相場が高騰していることなどから同715円(同17.4%高)と大幅に上昇した。

 冷凍品は、輸入量減少に伴う需給の逼迫感を受け高騰し、米国産「うで」が同519円(同28.3%高)、カナダ産「もも」が同542円(同26.4%高)と、いずれも約1年間以上、前年同月を上回って推移している。さらに、現地相場高、為替相場の円安傾向に加え、輸入部位の組み合わせが変化(ロースなど高級部位が増加、うで・ももなど加工向け部位が減少)していることも、この高騰の要因と考えられる(図6)。
図6 輸入豚肉の卸売価格(仲間相場)の推移

資料:農畜産業振興機構調べ
  注:消費税を含まない

                                      (畜産需給部 藤原 琢也)


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