需給動向 海外

◆ブラジル◆

2013年の鶏肉輸出量は前年から微減


2013年の生産量は微減

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2013年の鶏肉生産量は1260万2626トン(前年比0.3%減)となった(図13)。

 2013年は、上半期の飼料価格高や人件費上昇の影響で鶏肉価格が大幅に上昇したことで、ブラジル国内の鶏肉消費量が前年より減少し、また、輸出にも影響を及ぼしたことから、生産量は2011年のピークを境に2年連続の減少となった。

図13 鶏肉生産量の推移
資料:APINCO

2013年輸出量、前年比0.2パーセント減

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2013年の鶏肉輸出量は355万2446トン(前年比0.2%減)となった。輸出先を国別で見ると、前年に引き続き、最大の輸出国はサウジアラビアで68万4937トン(同9.6%増)、第2位は日本で38万7134トン(同1.9%増)、第3位は香港で33万5662トン(同9.4%増)となった(表7)。一方、中国向けは19万322トン(同16.3%減)と大幅に減少した。ここ数年、サウジアラビアを含む中東向け輸出が増加している要因として、ブラジル国内でハラル認証を受けた食肉処理施設の増加が挙げられる。また、日本向けの増加の背景として、タイ産鶏肉の日本市場輸出再開を踏まえ、一定の市場を確保したいとの思惑から価格が引き下げられたとみられている。

 形態別の輸出量を見ると、丸どりが148万4413トン(同4.8%増)であったのに対し、部位での輸出については206万8033トン(同3.5%減)となった。丸どりの輸出は、これまで主な輸出相手先であった中東向けの輸出量が引き続き堅調であることに加え、ベネズエラ向けが15万9800トン(同62.4%増)と好調であったことが増加の大きな要因となった。一方、部位での輸出は、鳥インフルエンザの発生により鶏肉消費が落ち込んでいる中国向けの輸出量が19万トン(同16.3%減)と減少したことや、主要輸出先であるロシアが、国内の鶏肉の増産により輸入を減らしたことが減少要因となった。
表7 2013年の鶏肉輸出
資料:SECEX

2013年の平均輸出単価、前年比4.3パーセント上昇

 2013年の平均輸出単価は、1トン当たり1,972米ドル(20万3100円)と前年比4.3パーセント高となった。ブラジル養鶏連合(UBABEF)によると、人件費の上昇分を輸出価格に転嫁したことを上昇要因としている。ただし、2013年のブラジル鶏肉輸出価格は、上半期は国際的な飼料穀物価格高を受けて高値で推移していたものの、下半期は飼料穀物価格が下落したことを受け下落傾向で推移している。この結果、2013年の総輸出額は、同4.0パーセント増の70億384万米ドル(約7214億円)となった。

 人件費の上昇などによる生産コストの上昇で価格競争力が低下しているといわれるブラジルの鶏肉であるが、昨今のドル高レアル安の影響を受けて、国内(レアル建て)の収益は改善状況にあるとされている。そのため、今後の輸出価格は下落基調で推移するとの見方も出ている。

2014年の鶏肉生産は増産見通し

 UBABEFは2014年の鶏肉生産量について、新市場となるパキスタンへの輸出開始やベネズエラ向け輸出増が見込まれることから、1280万トン(前年比1.6%増)程度まで拡大すると見込んでいる。しかし、当初豊作が見込まれていた2013/14年度(10月〜翌9月)の飼料穀物生産が、12月頃から続いている高温乾燥によって下方修正されている状況を受け、今後の飼料穀物価格は現在の水準よりも上昇するとの懸念もある。

 中国などでの鳥インフルエンザの発生を受けブラジル鶏肉への代替需要が増している中で、今後の鶏肉生産動向に関心が高まっている。

                                      (調査情報部 米元 健太)

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