需給動向 海外

◆中 国◆

牛肉消費の拡大で、2013年の牛肉輸入は急増


牛肉消費量は、生産量の伸びを上回る

 米国農務省(USDA)によると、2013年の中国の牛肉生産量は、前年比1.8パーセント増の563万7000トンと見込まれている。

 増産の背景には、中国国内の牛肉需要拡大がある。中国では、国民所得の増加を背景とした食生活の西洋化などにより、牛肉消費は増加基調で推移している。このため、2012年以降、消費量は生産量の水準を上回っており、2013年の消費量は、同5.1パーセント増の595万9000トンと見込んでいる(表3)。

表3 牛肉需給の推移
資料:USDA「China-Peoples Repablic of livestock and Product Semi-annual(2014年2月19日)」
  注:2013年および2014年は予測値値
 一方、中国の肉牛飼養頭数は伸び悩んでいる。これは、飼料コストの上昇による零細農家の増頭意欲の低下がある。大規模生産者は、国内の牛肉需要拡大や牛肉価格の上昇(図8)を反映して、肉牛の増頭を図る動きがあるものの、肉牛生産の9割以上を占める零細農家では、ここ数年の国内トウモロコシ価格高により、トウモロコシの輸入が拡大していることなど、飼料コストの上昇などが肉牛経営を圧迫しており、資金調達にも限界があることなどから、肉牛の増頭は限定的となっている。生産構造が未だ零細農家主体である中国の肉牛生産は脆弱といわれており、これが高まる牛肉需要に十分に対応できず、中国全体では、肉牛の飼養頭数は増加基調にあるものの、その伸びは緩やかとなっている。
図8 全国牛肉卸売価格の推移
資料:中国商務部

牛肉輸入量は、前年の4倍に増加

 2013年の牛肉輸入量は、前年と比べ4倍の41万2000トンと見込まれている。

 牛肉の輸入を国別に見ると、最も輸入量が多い豪州、次いでウルグアイおよびニュージーランドとなり、3カ国で輸入量全体の9割を占める。2013年を見ると、カナダ、アルゼンチンなどからの輸入も増加しており、中国では高まる牛肉需要を背景に、主要3カ国以外からも安定的かつ安価な牛肉の調達を進めている。

 現地報道によると、中国農業部副部長は、米国の牛海綿状脳症(BSE)発生による米国産牛肉の輸入停止について協議を進め、早ければ2014年7月にも輸入再開になる見通しであることを明らかにしており、今後、米国産牛肉の中国向け輸出の拡大が進めば、中国国内の牛肉需給に影響を及ぼすことも想定される。

2014年も消費増加を受け、輸入量も増加の見込み

 2014年も引き続き国内消費は堅調に推移することが見込まれ、輸入量も前年の水準を大幅に上回るものとみられている。ただ、輸入牛肉の価格(CIF)を見ると、1キログラムあたり4米ドル(412円:1米ドル=103円)程度であることから(図9)、その大半は低価格帯(冷凍)とみられ、加工原料用に仕向けられていると考えられる。

 中国の牛肉消費は、依然として生鮮取引が主流であることから、輸入牛肉のテーブルミートしての供給は限定的であり、国内市場において、国産と輸入品の仕向け先が区別されているとみられることから、輸入品が牛肉の卸売価格に及ぼす影響は、限定的となると考えられる。
図9 牛肉輸入量および輸入価格(CIF)の推移
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード0201(冷蔵牛肉)、0202(冷凍牛肉)

                                     (調査情報部 山ア 博之)


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