需給動向 国内

◆豚 肉◆

生産・輸入が増加、在庫は16万トン台へ回復


生産量は1.0パーセント増、輸入量は7.6パーセント増

 平成26年1月の豚肉生産量は、大規模層を中心とした飼養規模の拡大などにより、2カ月連続して前年同月を上回る1.0パーセント増の8万513トンとなった。

 また、1月の輸入量は、現地相場高、円安の為替状況下にありながらも、冷蔵品の増加にけん引される形で2カ月連続して前年同月を上回り、7.6パーセント増の6万6709トンとなった。

 内訳を見ると、冷蔵品は、冷凍品の減少に伴う代替として今年度当初からの増加が続いており、10カ月連続して前年同月を上回る16.7パーセント増の2万5499トンとなった。冷凍品は、通関審査の充実化などにより輸入量が減少していたものの、9カ月ぶりに前年同月を上回る2.7パーセント増の4万1210トンと、約1年ぶりに4万トンを上回る水準となった。

 また、推定出回り量は1.8パーセント増の13万3283トンとなり、推定期末在庫は、全体の約85パーセントを占める輸入品が7カ月連続して前年同月を下回る7.0パーセント減の14万3601トン、国産品は2カ月ぶりに前年同月を下回る1.7パーセント減の2万511トンとなった。

 期末在庫全体では、7カ月連続して前年同月を下回る6.4パーセント減の16万4112トンと依然として減少傾向、低水準の状況が続いているものの、3カ月ぶりに16万トン台へと回復したことで、一時的に豚肉需給のひっ迫傾向は薄らいだものと見られる(図4)。

図4 豚肉生産量、輸入量、推定期末在庫の推移


豚流行性下痢(PED)の発生状況

 平成25年10月に、我が国では7年ぶりの豚流行性下痢(PED)の発生が確認された。その後、生産者、流通業者など関係者の間で、発生予防、まん延防止対策が行われたものの、PEDの拡大は続き、農林水産省消費・安全局動物衛生課、関係各県の公表数値をまとめると、3月7日時点で西日本を中心に8県175件の発生が確認されている(表1)。
表1 豚流行性下痢(PED)の発生状況

資料:農林水産省消費・安全局 動物衛生課、関係各県
  注:平成26年3月7日現在
 PEDは、水溶性の下痢を主徴とし、10日齢以下のほ乳豚では死亡率が高いものの、母豚や肥育豚では一過性の下痢で治癒し、人に感染することはないとされる。

 また、家畜伝染病予防法の届出伝染病に指定されているが、殺処分などの防疫措置は実施されておらず、治癒後は通常どおり出荷することができる。

 現在のところ、発症頭数は13万頭程度、死亡頭数は3万頭程度にまで達しており、出荷適齢期を迎えた肥育豚の出荷遅延、発生農場周辺の移動自粛などにより、西日本を中心に出荷頭数が減少している場面も見られている。

 死亡した子豚の絶対数は、我が国の年間と畜頭数の1パーセントに満たないものの、同子豚が出荷適齢期を迎えたであろう夏場は、豚肉の需要期にあたる。現在の豚肉相場は上げ基調で推移しているものの、PEDによる夏場の出荷頭数減少見込みにより、全国的に先高観の様相を呈していることが、相場高の一因になっていることは否めないとの声もある。今後とも、PEDの発生・収束状況および豚肉相場に与える影響について、注視する必要がある。

                                      (畜産需給部 藤原 琢也)


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