需給動向 海外

◆米 国◆

2013年の豚肉生産量はわずかに減少


第1四半期の生産量の減少は、干ばつが要因

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2月20日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2013年の豚肉生産量は、前年比0.2パーセント減の1052万2000トンとなった(表4)。干ばつによる飼料穀物価格高騰の影響を受けた第1四半期(1〜3月)の生産量が前年同期比1.4パーセント減となったことが影響し、結果的には前年の水準を下回ることとなった。これは、2012年の干ばつの影響により、トウモロコシ価格が高水準で推移し、特に2012年7〜8月は1ブッシェル当たり8ドル(824円)に達し、それ以降も引き続き高値で推移していたことから、10月以降、飼料コストを抑制するため、肥育期間を短縮し、早期出荷したことにより、1頭当たり枝肉重量が減少していたことが影響した。
表4 四半期別豚肉生産量の推移
資料:USDA
注 1:2013年までは、USDA/NASS、2014年はUSDA/ERS
  2:2013年は、速報値、2014年は予測値

沈静化傾向にないPEDの発生件数

 全米養豚獣医師協会が公表している週別の豚流行性下痢(PED)報告件数レポートによると、2014年3月1日までに総計4,106件の発生が確認されている(図10)。米国でのPEDの発生は、今のところ沈静化の傾向にはなく、これまでに26州で確認されている。

 育成・肥育・繁殖別の発生状況を見ると、肥育豚が936件と最も多く、次いで哺乳豚(827件)、子豚(789件)、繁殖豚(397件)となっている。
図10 月別PED発生件数の推移
資料:全米養豚獣医師協会

1頭当たり枝肉重量の増加により、2014年は増産の予測

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2月14日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2014年の豚肉生産量は、前年比1.0パーセント増の1062万3000トンと見込んでいる(表4)。

 上述のとおり、PEDの発生が続いているため、USDA/ERSは、と畜頭数はわずかに前年を下回るとしている。USDA/NASSによる2014年1月のと畜頭数を見ると、前年同月比1.7パーセント減の979万1000頭となっている。と畜頭数を州別に見ると、PEDの発生頭数が最も多いアイオワ州では、同2.7パーセント減の263万3000頭、次いで多いミネソタ州、ノースカロライナ州とそれぞれ0.1パーセント減、6.6パーセント減となっている。

 しかしながら、USDA/ERSは、飼料価格の下落により飼料給与量が増加していることから1頭当たりの枝肉重量の増加が続き、2014年の豚肉生産量は前年を上回ると予測している(表4)。USDA/NASSによる1頭当たりの枝肉重量を見ると、2014年1月は前年同期比2.4パーセント増の96.6キログラムと8カ月連続で前年同月を上回っている(図11)。
図11 1頭当たり枝肉重量の推移
資料:USDA/NASS

                                      (調査情報部 山ア 良人)

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