平成25年の需給動向を振り返ってみると、前半、高水準であった在庫量は、徐々に取り崩しが進み、12月には10万1532トン(前年同月比21.3%減)と、前年を大幅に下回って推移した。この要因としては、輸入量の減少や景気回復基調に伴う堅調な需要に加え、夏以降の生産量の伸び悩みが挙げられる。そこで今回は、生産量に大きく影響する肉用種鶏・原種鶏の輸入動向および種鶏導入羽数の推移について見てみたい。
平成25年の肉用種鶏(雌)輸入羽数は、16万4344羽(前年比38.9%減)、肉用原種鶏(雌)輸入羽数は、12万3883羽(同15.1%減)と、ともに前年を下回った。国別に見てみると、英国からの肉用種鶏輸入羽数は6万7801羽(同48.9%減)、肉用原種鶏輸入羽数は11万8063羽(同8.8%減)と、ともに前年を下回った(図6)。肉用種鶏導入から鶏肉生産まで10カ月程度かかることを踏まえ、英国からは日本の需要期に合わせて毎年2〜3月に肉用種鶏の輸入を行っている。しかしながら、25年前半は日本国内の鶏肉在庫量が高水準であったことから、この時期の肉用種鶏輸入量を減少させたのではないかと推察される。続いて、フランスからは、肉用としては主に種鶏が輸入されており、輸入羽数は、15万5537羽(同17.6%減)と、前年を下回った。ただし、英国ほどは大きく減少しておらず、その要因としては、フランスから輸入される肉用種鶏は主に高級鶏肉用であり、外食産業からの一定の需要があるものとみられる。米国からの肉用種鶏は24年6月、肉用原種鶏は25年1月を最後に輸入されていない。これは、肉用種鶏・原種鶏を輸入する日本の孵卵業者が、従来の米国種から、増体率などの点で優れる英国種に戻したことが要因として挙げられる。
図6 肉用種鶏・原種鶏(雌)国別輸入羽数
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資料:農林水産省「動物検疫速報」
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早ければ今春以降、国内生産量増加の可能性も
上記の肉用種鶏・原種鶏の輸入動向を踏まえ、国内における肉用種鶏導入羽数を見てみると、平成25年の肉用種鶏のひな導入羽数は、500万1000羽(前年比3.0%減)と、前年をやや下回った(表1)。同年6月までは前年を下回る月が多く、上期(1−6月累計)では245万3000羽と前年同期比10.4パーセント減となったものの、昨夏以降は、11月を除いて前年同月を上回り、下期では254万8000羽と同5.0パーセント増となった。堅調な鶏肉相場により、生産者の増産意欲が高まれば、この肉用種鶏導入羽数の増加の影響が、今春以降の国内生産量に表れてくることも考えられる。
表1 肉用種鶏(雌)の導入羽数
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資料:一般社団法人日本種鶏孵卵協会「鶏ひなふ化羽数」、農林水産省「動物検疫速報」
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(畜産需給部 山口 真功)
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