需給動向 海外

◆米 国◆

2013年の鶏肉生産量は、前年比2.1パーセント増


2014年も生産拡大の傾向は続く見込み

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が1月23日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2013年の鶏肉生産量は、前年比2.1パーセント増の1715万2000トン(速報値)となった(図15)。増産の背景としては、2013年のトウモロコシや大豆の豊作による飼料価格の下落により、ブロイラーの1羽当たりの平均出荷重量が増加したこと、また、景気回復を期待して生産者が鶏肉生産を拡大していることなどがあるとみられている。

 また、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が1月17日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2014年の鶏肉生産量は、飼料価格の下落により生産者の増産意欲がうかがえることから、同2.9パーセント増の1764万5000トン(予測値)としている。

図15 鶏肉生産量の推移

資料:USDA/NASS、USDA/ERS
  注:2013年は速報値、2014年は予測値

2013年1〜11月の冷凍鶏肉在庫量、連続して前年同月比増

 USDA/NASSが1月22日に公表した「Cold Storage」によると、2013年12月の冷凍鶏肉の在庫量は、前年同月比0.4パーセント減の30万5649トンとなった(図16)。12月は、前年同月の水準を下回る結果となったが、2013年の在庫量は、鶏肉生産量の増加に伴い、1月から11月まで連続して前年同月の水準を上回って推移していた。

 部位別に見ると、手羽の在庫量が前年比28.6パーセント増と大幅に増加している。USDA/ERSによると、鶏肉の生産量の増加基調にあることから、2014年も鶏肉の在庫量が増加する状況は続くとしている。
図16 冷凍鶏肉在庫量
資料:USDA/NASS
  注:各月末現在

生産、在庫増で鶏肉の卸売価格は下落

 食肉では、在庫数量の増減が価格に影響を与えることが通例となっているが、米国農務省農業市場流通局(USDA/AMS)が公表している「Broiler Market News Report」によると、在庫量の増加を受け、鶏肉の卸売価格は下落傾向で推移している(図17)。

 鶏肉の部位別の価格を見ると、2014年1月の手羽の卸売価格は、前年同月比34.7パーセント安の1ポンド当たり127.61セント(約133円:1ドル=104円)となっている。手羽の価格は、ブロイラーの大型化による供給不足とスポーツ観戦時のスナックとして手羽需要が増加し、2012年中はむね肉の価格を上回る水準で高価格が続いていたが、2013年3月以降は在庫量の増加により、荷動きが悪くなり、4月に入って急速に価格が下落しており、5月以降は、もも肉を下回って推移している。

 一方、むね肉の卸売価格は、手羽に比べ割安感となったことから需要が高まり、2013年6月には同220.21セント(約229円)まで高騰している。その後、鶏肉生産量の増加により下落に転じ、2014年1月の同価格は、ピーク時(2013年6月)に比べ、15.0パーセント安の同186.29セント(約194円)となっている。しかしながら、ファストフード向け需要などを中心に一定の消費がみられることから、前年に比べ価格は高い水準で推移している。
図17 鶏肉卸売価格の推移
資料:USDA/AMS

                                      (調査情報部 山ア 良人)



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