デーリー・オーストラリア(DA)によると、2013年12月の生乳生産量は93万5700キロリットル(前年同月比1.4%増)となり、2012年11月以来13カ月ぶりに前年同月を上回ることとなった(図22)。州別では、ビクトリア州とタスマニア州が前年同月比増となり、輸出乳製品向けが主体の両州が生乳生産の増加をけん引した形となった。
しかしながら、今後の生乳生産は引き続き不透明な状況にある。主要酪農地域である豪州南東部では、1月頃からの熱波により厳しい暑さを記録しており、今後の生乳生産への影響が懸念されている。米国農務省(USDA)は、今回の熱波により、地域によっては生乳生産が1割程度減少する可能性を示唆している。
図22 生乳生産量の推移 |
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資料:DA
注:年度は7月〜翌6月 |
現地報道によると、南オーストラリア州の一部のチーズ工場では、熱波の影響で日中の工場操業に伴う冷房設備の過剰使用を控え、夕方以降に操業時間をシフトしている工場もあり、今回の熱波の影響の大きさを物語っている。
乳製品の輸出価格は軒並み上昇
DAによると、2013年11月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が1万4797トン(同20.7%減)、全粉乳が1万2838トン(同0.3%減)、バターが4,715トン(同30.4%増)、チーズが1万4792トン(同6.7%減)となった(図23)。バターを除き、多くの乳製品の輸出量は前年同月を下回っており、11月までの生乳生産の減少が影響している。しかしながら、12月の生乳生産の回復や、11月以降、為替相場が米ドルに対して豪ドル安傾向となっていることなどから、12月以降の輸出環境はやや改善に向かうと予想されている。
一方、輸出価格を見ると、軒並み前年を上回って推移している(図24)。特に全粉乳は、中国などアジア諸国での堅調な全粉乳需要を背景にチーズを上回る水準まで上昇している。隣国ニュージーランドも全粉乳輸出を強化しており、当面は国際的な全粉乳需要を反映し、輸出価格は高水準で推移するとみられている。
図23 11月の豪州の牛乳・乳製品の輸出量 |
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資料:DA
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図24 11月の豪州の牛乳・乳製品の輸出価格 |
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資料:DA
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日本向けチーズ輸出量は低水準
豪州からの日本向け主要輸出品であるチーズの輸出に着目すると、輸出量全体では2013年7〜9月は例年に比べ低水準であったものの、10〜11月にかけては、前年と同程度まで回復している(図25)。その一方、日本向け輸出量に目を転じると、7月以降、近年の同時期の水準を下回って推移している。これは、日本に次ぐ輸出先である中国向けの輸出価格が2012年7月以降、常に日本向けを上回っていること、また、中国に加えアジア・中東諸国向けが増加傾向にあることなどが背景にあるとみられている。
図25 豪州のチーズ輸出量および輸出価格の推移 |
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資料:GTI社「Global Trade Atlas」 |
(調査情報部 根本 悠) |