需給動向 海外

◆米国◆

2013年の生乳生産量、前年並の水準


乳用繁殖後継牛の飼養頭数増で、今後の乳用牛頭数増に期待

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が1月23日に公表した「Milk Production」によると、2013年の生乳生産量は前年比0.4パーセント増の9126万トンとなり、前年並の水準となった(表5)。
表5 生乳生産の概況
資料:USDA/NASS「Milk Production」
 また、搾乳牛飼養頭数および一頭当たりの乳量は、それぞれ同0.1パーセント減の922万6000頭、同0.5パーセント増の9,891キログラムとほぼ前年並の水準となった。このような中、USDA/NASSが1月31日に公表した「Cattle」によると、子牛を産むと見込まれる乳用繁殖後継雌牛頭数が前年を1.8パーセント上回っており、今後、子牛生産の拡大が見込まれることで、乳用牛頭数は増加に向かうものとみられている。

堅調な国内外の需要を受け2014年の生乳生産量は増加見通し

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が1月17日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2014年の乳用牛頭数は前年比0.3パーセント増と予測されている。同レポートでは、2014年の搾乳牛飼養頭数が前年を上回り、また1頭当たり乳量も前年比1.8パーセント増と見込まれることから、生乳生産量は同2.1パーセント増の9326万トンと見込まれている。この増産予測は、好調な乳価に加え、大豆を除く飼料穀物価格の下落により生産者の収益が回復に向かう中、堅調な国内外の需要が続くとの見通しによるものである。

乳製品輸出は堅調に推移

 米国農務省海外農務局(USDA/FAS)によると、11月の米国乳製品輸出量は、堅調な輸出需要を受け、バターは前年同月比約3倍増の8,972トン、チーズは同54.0パーセント増の2万8000トンとなり、バターおよびチーズともに6カ月連続で前年を上回る水準で推移している(図18、19)。
図18 バター輸出量の推移
資料:USDA/FAS
図19 チーズ輸出量の推移
資料:USDA/FAS
 輸出先を国別に見ると、バターはサウジアラビア向けが同123.3パーセント増と大幅に増加し、輸出先国第2位のイラン向けが同9.9パーセント減となった。このイラン向け輸出量の減少分は、2012年に輸出実績がなかったウクライナやエジプトに仕向けられている。他方、チーズはメキシコ(同28.4%増)、韓国(同69.0%増)および日本(同115.5%増)向けとなっており、主要輸出先国でいずれも前年の水準を大幅に上回っている。

 USDA/ERSは、2014年の国内消費量が前年の水準を上回ると見込まれることから、同年の乳製品輸出量を無脂乳固形分ベースで前年比8.2パーセント減、乳脂肪ベースで同0.5パーセント減と予測している。

                                      (調査情報部 山神 尭基)


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