需給動向 海外

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枝肉価格の高止まり、飼料価格下落で子豚の引き合い強まる


2013年12月の豚枝肉卸売価格、前年同月比1.6パーセント安

 欧州委員会によると、EUの2013年12月豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり170.13ユーロ(2万3988円:1ユーロ=141円)と前月からほぼ横ばい、前年同月比では1.6パーセント安となった(図6)。豚枝肉卸売価格は2013年10月以降、季節的な豚肉供給量の増加などに伴い下落を続けてきた。しかし、域内の豚肉消費需要はふるわないものの、12月に入りEU全体の豚肉供給量に引き締まり感が出てきたことから、価格は底を打ったとの見方も出てきている。

 価格状況を主要豚肉生産国別に見ると、多くの国で値を下げており、ベルギーは前月比2.7パーセント安(592円安)、デンマークは前月比2.8パーセント安(634円安)、スペインは2.7パーセント安(691円安)、フランスは2.0パーセント安(437円安)となった。一方、イタリアは、2013年9月から11月にかけての大幅な価格下落(16.0%安)に対する反動により値を上げ、前月比4.3パーセント高(1,114円高)となった。
図6 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会
 なお、2013年の年間平均価格は、100キログラム当たり175.48ユーロ(2万4743円)となり、前年を2.9パーセント上回る4.96ユーロ高(699円高)となった(図7)。主要豚肉生産国で最も高値をつけたのはスペインであり、前年比11.3パーセント高の同193.28ユーロ(2万7252円)となった。逆に、安値であったのはオランダであり、前年からほぼ横ばいとなる同157.13ユーロ(2万2155円)となった。

 EUの2013年の豚肉価格は、同年1月から施行されたアニマルウェルフェア規制強化(妊娠母豚ストール飼い禁止)の影響により、供給不足と価格高騰が懸念されていたこともあり、1月以降高値でのスタートとなった。現在は値を下げつつあるものの、引き続き高水準を維持している。
図7 豚枝肉卸売価格の推移(年間平均)
資料:欧州委員会

子豚価格は再び強含みの傾向

 欧州委員会によると、2013年12月の子豚価格(体重20キログラム以下の肉用向け)は1頭当たり48.42ユーロ(6,827円)となり、前月からやや値を上げ、前年同月比1.4パーセント高となった(図8)。これは、枝肉価格が依然として高水準を維持している傾向に加え、飼料穀物価格の下落により、肥育経営からの引き合いが強まっているものとみられている。
図8 子豚価格の推移(月別)
資料:欧州委員会

 子豚価格を国別に見ると、主要子豚生産国の多くが値を上げる中、デンマーク(47.14ユーロ、前月比2.8%安)は値を下げる形となった。これは、豚飼養頭数の減少が伝えられるポーランドからの引き合いが弱まったことが、主要供給元であるデンマークの子豚価格に影響を与えたとみられている。

 なお、2013年の年間平均子豚価格は同48.13ユーロ(6,786円)となり、前年比1.8パーセント高となった。デンマーク、ドイツは前年から横ばいであったが、スペイン(44.40ユーロ、同3.7%高)とフランス(34.33ユーロ、同2.1%高)が値を上げた(図9)。
図9 子豚価格の推移(年間平均)
資料:欧州委員会

飼料価格は一層の下落

  欧州委員会によると、2013年12月の豚用飼料価格はトン当たり269.2ユーロ(3万7957円)と、前年同月比20.4パーセント安と大幅な下落をみせた(図10)。2012年の世界的な穀物価格高騰から一転、豊作となった2013年は大幅な価格下落を見せており、EUの同価格は、2012年12月のピークから一年間で69ユーロ(9,729円)もの下落幅をみせた(図11)。

 同委員会では、こうした飼料価格下落に加え、豚枝肉価格も高水準を維持していることから、主要豚肉生産国を中心に生産者の増産意欲は今後とも高まるものとみている。
図10 豚用飼料価格の推移
資料:欧州委員会

図11 豚用配合飼料価格の推移(前年同月比)
資料:欧州委員会

                                       (調査情報部 宅間 淳)

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