需給動向 国内

◆牛 肉◆

牛肉枝肉卸売価格、異例の高値


 平成27年1月の牛肉需給は、生産量は2万5850トン(前年同月比0.6%減)と、全国的な出荷頭数の減少により前年同月をわずかに下回った。輸入量は3万3069トン(同1.8%減)と、前年同月をわずかに下回った。推定出回り量は5万9242トン(同5.4%減)となったものの、推定期末在庫は前月より443トン取り崩し、13万1982トン(同11.1%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

枝肉卸売価格、例年と異なる動き

 このような中、枝肉卸売価格は、年明け以降、例年とは異なる動きとなっている。2月の東京市場における枝肉卸売価格(速報値)は、去勢和牛A−4が1キログラム当たり2251円(同22.4%高)、交雑去勢B−3が1519円(同24.6%高)となり、いずれも昨年12月よりも高くなった(図1)。例年、枝肉卸売価格は最需要期である12月をピークに1月以降は低下する。しかしながら、今年においては年明け以降も低下せず、むしろ上昇基調で推移している。

図1 牛枝肉卸売価格の推移(東京市場)
資料:農林水産省「食肉流通統計」
  注:平成27年2月は、速報値。

米国産の冷蔵品輸入量、大幅な減少

 既報のとおり、枝肉卸売価格は、全国的な頭数不足や需要回復、輸入牛肉の仲間相場の高止まり、和牛の輸出量の増加などを背景に堅調に推移している。こうした状況は今年に入ってからも続いている。牛肉需給を取り巻く状況の中で、大きな変化が見られたのが、冷蔵品輸入量である。1月の冷蔵品輸入量は1万2735トン(同10.9%減)とかなりの程度減少した。このうち、米国産は3185トン(同46.6%減)と、米国西海岸港湾における労使交渉が難航していたことに伴う物流の混乱により、前年同月と比べておよそ半減した。米国産の大幅な減少によって、日本国内の物量が不足し、一時的な代替品として国産牛肉への引き合いが高まったとの声が多い。

 このように枝肉卸売価格が高値で推移している中、卸売業者においては、実需者への価格転嫁がなかなか進まず、逆ザヤになっているとみられ、高値疲れが起こることも懸念されている。一方、米国西海岸港湾における労使交渉は2月20日に暫定合意した旨の報道があったことから、港湾物流の混乱は解消していく見方が強いものの、元に戻るには数カ月かかるとも言われており、堅調な相場がしばらく続く可能性もある。いずれにしても、牛肉の枝肉卸売価格は例年の動きと異なることから、今後の価格動向に注目が集まっている。

(畜産需給部 山口 真功)

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