需給動向 海外 |
◆米 国◆
2014年の生体牛および牛肉輸入、前年から大幅増加 |
カナダからの肥育もと牛輸入が2倍に 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2月17日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2014年の生体牛輸入頭数は、前年比16.0%増の235万8000頭となった(図1)。国別に見ると、カナダが同19.0%増の124万2000頭、メキシコが同12.8%増の111万6000頭と、ともに前年を上回った。特に、肥育もと牛とされる体重400〜700ポンド(181〜318キログラム)の牛の輸入が、同47.6%増と大幅に増加しており、このうちカナダからの輸入頭数は前年の約2倍に達した。この背景には、2011年および2012年の干ばつで牛飼養頭数が減少傾向で推移する中、放牧環境が回復に向かっていることによる生産者の増頭意欲の高まりがある。 今後も米国の牛肉需給は、ひっ迫傾向が続くとみられており、生体牛に対する輸入需要は高い水準を保つとの見方が強い。一方で、2015年の輸入頭数は、カナダやメキシコでの牛群再構築による保留が進むとみられることから、同2.5%減の230万頭と減少することが見込まれており、肉牛価格上昇への懸念も高まりつつある。
牛肉輸入量も大幅に増加 2014年の牛肉輸入量は、需給がひっ迫傾向にある中で、前年比31.0%増の133万7000トンと大幅に増加した。国別に見ると、最大の輸入先国である豪州が同73.5%増の49万1000トンと大幅に増加し、全体の輸入増加量の約7割を占めた(図2)。この要因として、USDAは、豪州で干ばつが続いてとう汰される牛が増えたため、牛肉生産量が増加し、米国への輸出を後押ししたとしている。次いでニュージーランドが同13.5%増(27万3000トン)、カナダが同11.9%増(27万1000トン)、メキシコが23.3%増(14万1000トン)と主要輸出先国からの輸入量が軒並み増加した。主要通貨に対して米ドル高で推移した為替相場も輸入増の一因となった。
牛肉輸出量はわずかに減少 一方、2014年の輸出量は、前年比0.7%減の116万7000トンとなった(図3)。このうち、最大の輸出先である日本向けは、同1.3%減の30万トンとなった。また、カナダ向けは、牛肉価格の上昇に加え、米ドルに対してカナダドルが安値となったことで需要の減退を招き、同22.2%減の16万5000トンとなった。これに対し、高級品を中心とした堅調な輸出需要を受け、香港(同16.0%増)、メキシコ(同7.9%増)、韓国(同19.2%増)などへの輸出が増加した。
(調査情報部 渡邊 陽介)
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