需給動向 海外 |
◆中 国◆
2014年の鶏肉調製品輸出量は前年から減少 |
需要の回復により、鶏肉価格は上昇基調 中国商務部によると、2015年1月の鶏肉価格(平均小売価格)は、前年同月比4.2%高の1キログラム当たり19.8元(382円、1元=19.3円)となり、2014年4月以降、前年同月を上回る状況が続いている(図24)。中国牧畜業協会によると、鳥インフルエンザ(AI)の収束に伴う鶏肉消費の回復や、もと雛価格の上昇による生産費の増加が、鶏肉価格上昇の要因であるとしている。
しかし、2014年後半は、気温の低下とともに各地域でAIの発生が次々と確認されている。このため、国内の主要都市では、AIのまん延を防止するために生体取引に関するさまざまな管理規則が発出されている。一例を挙げると、北京や蘇州、成都などでは、人口が密集する市内中心部での鶏の生体取引が禁止されている。また、上海でも、春節(旧正月)などによりヒトの動きが活発化する2月から4月の間、市場での生体販売を取り締まる動きが強まっている。こうした動きは、中国全土に広がりつつあり、鶏肉の流通・鶏肉消費形態にも変化が生じるとみられている。 2014年の冷凍鶏肉の輸入量は前年比18.5%減 2014年の冷凍鶏肉の輸入量は、前年比18.5%減の44万162トンとなった(図25)。2014年は上半期にAIの収束で国内生産が回復したため、前年に比べて輸入需要が低下している。主な輸入先はブラジル、米国であり、この2カ国でシェアを二分している。なお、最近の傾向を見ると、ブラジルからは手羽を、米国からはモミジを中心に輸入しており、部位による市場のすみ分けがなされている。
一方、中国農業部および国家質量監督検査検疫総局は1月9日、米国太平洋岸北西部で飼養されていた家禽から高病原性鳥インフルエンザ(H5N8型)が発生したことを受け、鶏肉を含む米国産家禽肉および卵製品の輸入停止を発表した。この措置により今後、他国産へのシフトや輸入量の減少が見込まれる。 なお、中国は、輸入原種鶏の9割以上を米国から導入している(図26)。今回の禁輸措置は生体鶏にも適用されることから、米国産原種鶏の輸入停止による国内生産への影響を懸念する声もある。
鶏肉調製品輸出量の減少は食品事件の影響 2014年の鶏肉調製品の輸出量は、前年比2.9%減の25万9327トンとなった(図27)。国別では、最大の輸出先である日本向けが同3.0%減の21万7416トン、これに次ぐ香港向けが同0.6%減の2万250トンとなった。 日本向けについては、2014年7月に発覚した中国食品加工会社による期限切れ鶏肉の使用問題を受けて、同年8月以降、輸出量は前年同月を下回る状況が続いている。日本国内では事件の影響が収束しつつあるものの、円安などの他の要因もあり対日輸出は伸び悩んでいる。また、日本向け輸出価格は、8月以降も、1トン当たり4400米ドル台(52万8000円、1米ドル=120円)を維持しており、事件の影響による価格の下落はあまり見られない。
(調査情報部 木下 瞬)
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