需給動向 海外

◆米 国◆

2014年の鶏肉需給、増産も輸出は前年割れ


生産量は2年連続の増加

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2月25日に公表した「Poultry Slaughter Annual」によると、2014年の鶏肉生産量は、前年比1.9%増の1748万6000トンと2年連続の増加となった(図15)。トウモロコシや大豆が豊作になり、飼料価格が安値で推移していることから、飼料の多給が進みブロイラーの1羽当たりの平均出荷重量が増加したこと、また、堅調な需要を受け、処理羽数が増加したことにより、増産となった。

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2月17日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2015年の鶏肉生産見通しとして、景気の回復に伴う鶏肉需要の増加により、同3.6%増の1812万トン(予測値)と前年の伸び率を上回る増加が見込まれている。

図15 鶏肉生産量の推移
資料:USDA/NASS、USDA/ERS
  注:2014年は速報値、2015年は予測値

期末在庫量、前年をわずかに上回る

 USDA/NASSが1月22日に公表した「Cold Storage」によると、2014年12月の冷凍鶏肉の在庫量は、前年同月比2.0%増の32万3200トンとなり、10カ月ぶりに前年を上回った(図16)。これは、堅調な鶏肉需要に伴う価格上昇を背景に、鶏肉の増産が拡大したことが挙げられる。

 部位別に見ると、レッグ・クオーター(半身のブロイラーをさらに4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上もも部分)および手羽は、在庫量が大幅に減少しており、特に手羽は、スポーツ観戦需要として消費が増加したことから、前年同月比33.4%減となった。一方、上もも(同67.7%増)やむね肉(同44.2%増)は前年同月を大幅に上回っており、在庫のだぶつきが目立っている。USDA/ERSによると、鶏肉生産量は増産基調にあり、在庫量の増加が見込まれることから、今後、この増加が鶏肉価格の下落要因となるとみている。

図16 冷凍鶏肉在庫量
資料:USDA/NASS
  注:各月末時点

輸出量は前年をわずかに下回る

 USDA/ERSによると、2014年の鶏肉輸出量は前年比約1.0%減の331万トンとわずかに減少した(図17)。この要因として、ブラジルなどの輸出競争力が高まったことや、輸出量の2割を占めていたロシア向けが同年9月以降、同国の禁輸措置により鶏肉輸出が停止した影響が考えられる。

図17 鶏肉輸出量の推移
資料:USDA

 輸出量を国別に見ると、輸出先国1位のメキシコ向けは同9.0%増、キューバ向けは同3.4%増とロシア向けの減少を補完した形となった。一方、カナダ向けは同3.6%減となった。USDAは、米国で発生した鳥インフルエンザの拡大懸念や米ドル高で推移する為替相場により輸出競争力が低下すると見ており、2015年の鶏肉輸出量を同2.6%減と見込んでいる。

(調査情報部 山神 尭基)

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