需給動向 海外

◆豪州◆

2014/15年度の生乳生産、前年比2%増の見込み


乳製品輸出、脱脂粉乳は堅調である一方、全粉乳、バターは大きく減少

 デーリーオーストラリア(DA)によると、2014年12月の主な乳製品の輸出量は、

・脱脂粉乳2万1462トン(前年同月比55.8%増)
・全粉乳8899トン(同31.0%減)
・バター5811トン(同15.1%減)
・チーズ1万3611トン(同8.4%減)

となった(図30)。7月以降、増加傾向で推移している脱脂粉乳は前年同月を大幅に上回ったが、その他の品目は乳製品国際価格の下落を受けて、いずれも前年同月を下回っている。特に、全粉乳は中国の需要緩和、バターはロシアの禁輸措置と、それぞれ最大の輸出先の動向に大きな影響を受けており、ともに10%を超える減少幅となっている。

図30 乳製品輸出量の推移
資料:DA

乳製品国際価格、バター、粉乳類ともに上昇傾向

 2015年2月17日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:ニュージーランド(NZ)最大手乳業メーカー、フォンテラ主催の電子オークション、月2回開催)における1トン当たり平均取引価格は、

・脱脂粉乳2744米ドル(約33万円:1米ドル=120円、前年同期比42.6%安、
 前回比5.6%高)
・全粉乳3272米ドル(約39万円、前年同期比34.5%安、前回比13.9%高)

となった(図31)。2014年に入り乳製品国際価格は下落傾向で推移していたものの、バターについては年末から上昇傾向に転じており、粉乳類も2015年に入り、上昇傾向となっている。これは、NZの一部地域で「中程度の干ばつ」宣言が出されるなど、NZ国内で乾燥気候が進展していることに加え、2015年1月にフォンテラが2014/15年度(6月〜翌5月)の集乳量(生乳生産量)見込みを前年度並みから前年度比3.3%減に下方修正していることが背景にある。このため、GDTでのNZ産乳製品の取引数量も大幅に減少しており、これが、取引価格上昇の要因となっている。

図31 GDTの乳製品価格の推移
資料:GDT

DAの需給見通し、年間生乳生産量は前年比2%増

 DAは2015年2月、酪農乳業に関する需給見通しを公表した。これによると、2014/15年度(7月〜翌6月)の豪州の生乳生産量は、最大の生乳生産地であるビクトリア州の一部地域で夏場に発生した乾燥気候の影響はあるとしながらも、930万〜950万キロリットル(前年比2%程度増)とわずかな増加を見込んでいる。上半期(2014年7〜12月)の生乳生産量が、前年度を2.6%上回っていることを考慮すると、下半期は、おおむね前年並みか前年をわずかに下回る水準となることが予想される。

 また、豪州にとって日本と並ぶ主要な輸出先の中国については、依然として全粉乳など原料系の乳製品を中心に在庫が過剰な状態にあるものの、再び需要が回復する兆候も見られているとしている。一方で東南アジアについては、これまでの低水準の乳製品国際価格を背景に総じて需要は堅調であり、特に植物性脂肪よりも消費者の嗜好性の高いバターの需要が高まっているとしている。

 さらに、乳製品国際価格については、依然として、中国の需要緩和とロシアの禁輸措置により、世界的に乳製品の供給過剰状態は続いており、急激な回復を見せる可能性は低いとしつつも、NZの生乳生産の減少見込みなどを背景に、2015年中に平年の水準に戻る可能性に言及している。

(調査情報部 根本 悠)

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