需給動向 国内 |
1月の豚肉需給、輸入量は前年同月比19.2%の減少 |
平成27年1月の豚肉需給は、生産量は前年同月をかなりの程度下回る7万4492トン(前年同月比7.5%減)、輸入量は前年同月を大幅に下回る5万3931トン(同19.2%減)、推定出回り量は前年同月並みの13万2716トン(同0.4%減)となり、推定期末在庫は前月から4314トンを取り崩し、18万4648トン(同12.5%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 1月の米国産冷蔵品輸入量、17年2月以来の1万トン割れ 1月の輸入量が前年同月と比較して大幅に減少したのは、米国産豚肉の輸入量減少によるところが大きい。米国産の輸入量は、冷凍品は5659トン(同6.7%増)と、かなりの程度増加したものの、冷蔵品が9756トン(同41.1%減)と大幅に減少した結果、合計でも1万5415トン(同25.4%減)と大幅な減少となった。米国産の冷蔵品輸入量が1万トンを下回ったのは、17年2月以来、およそ10年ぶりのこととなる。 この低水準の背景には、米国西海岸港湾における労使交渉の難航がある。西海岸港湾を経由して輸出入される貨物の物流が停滞し、輸出においては2週間以上の遅れが発生した。労使交渉自体は2月20日に暫定合意に達したことから、今後の物流は正常化に向かう見通しであるが、混乱が解消するまでに数カ月を要するとも言われており、3月の冷蔵品輸入量にも影響があるものと見込まれる。 なお、冷蔵品より賞味期限が長い冷凍品については、一部東海岸から船積みされているとのことで、冷蔵品ほど大きく影響を受けないとみられる。 2月の豚枝肉卸売価格、1キログラム当たり630円の高値に 2月の豚枝肉卸売価格は、東京・大阪市場における省令規格の加重平均が、1キログラム当たり630円(同32.4%高)となった(図2)。不需要期に当たり、価格も低水準となりがちな2月としては、過去20年遡っても例のない高水準となった。 同574円で始まった2月の同価格は上昇傾向で推移し、10日には同763円となった。これには、米国産冷蔵品の到着に大幅な遅れが発生したことや、出船遅れの影響により輸送中に賞味期限間近となった貨物はコンテナ内で凍結されたため、予定していた冷蔵品で調達できなかった量販店などが、輸入品から国産品に切り替えた影響が考えられる。加えて国内の出荷頭数は、豚流行性下痢(PED)の影響から回復傾向にあるものの、前年の水準までは戻っていないこともあり、買参人が競った結果、異例の高値となったとみられる。 なお、同価格は16日に同549円まで低下したが、2月中は1度もそれを下回ることなく推移し、末日は同593円となった。また、同価格は3月に入っても高水準にあり、16日時点で同600円となっている。
(畜産需給部 三田 修司)
|
元のページに戻る