需給動向 国内

◆牛 肉◆

平成27年度上半期の牛肉需給、
生産量・輸入量・出回り量いずれも減少


 平成27年9月の牛肉需給は、生産量は2万6660トン(前年同月比7.4%減)とかなりの程度減少し、6カ月連続で前年同月を下回った。輸入量は、4万6033トン(同13.0%減)とかなり大きく減少し、4カ月連続で前年同月を下回った。推定出回り量は前年同月をやや下回る7万1269トン(同4.1%減)となり、推定期末在庫は前月から1246トンを積み増し、14万3129トン(同10.4%増)と、前年同月をかなりの程度上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

上半期の生産量、全品種で減少

 平成27年度上半期(4月〜9月)の生産量は、16万3793トン(前年同期比5.0%減)とやや減少した(図1)。品種別では、和牛が7万4250トン(同4.8%減)、乳用種が5万1030トン(同3.2%減)、交雑種が3万6465トン(同7.7%減)と、全ての品種で前年同期を下回った。これは、和牛の繁殖農家および酪農家の離農の進行により、繁殖基盤が縮小し、出荷頭数が減少したことなどによる。

上半期の輸入、米国産から豪州産への切り替えが進む

 平成27年度上半期の輸入量は、26万7368トン(前年同期比7.4%減)と前年同期をかなりの程度下回った。このうち、冷蔵品は10万5180トン(同9.6%減)、冷凍品は16万1865トン(同5.8%減)と、いずれも前年同期を下回った。輸入量が減少した要因として、現地相場高や為替の円安基調、一部外食チェーンの業績悪化に起因した高い在庫水準などが挙げられる。国別に見ると、豪州産が16万4461トン(同5.1%増)とやや増加した一方、米国産が8万5055トン(同18.2%減)と大幅に減少した。豪州産、米国産ともに現地相場や為替など輸入コストは増加しているものの、豪州産については、日豪EPAにより27年4月から関税率が冷蔵品で31.5%、冷凍品で28.5%に削減されていることもあり、米国産からの切り替えが進んでいるとみられる。

上半期の推定出回り量、国産品、輸入品ともに減少

 平成27年度上半期の推定出回り量は、41万4735トン(前年同期比5.3%減)と前年同期をやや下回った。このうち、国産品は16万787トン(同5.9%減)、輸入品は25万3947トン(同4.9%減)といずれも減少した。卸売価格の上昇を受けた小売価格の上昇などを背景に、より安価な豚肉や鶏肉などに需要がシフトしているものとみられる。

9月末の推定期末在庫、14万トン超の高水準

 9月末の推定期末在庫は、14万3129トン(前年同月比10.4%増)と前年同月をかなりの程度上回った。このうち、全体の9割以上を占める輸入品は13万2048トン(同13.0%増)と前年同月をかなり大きく上回った一方で、国産品は1万1081トン(同13.5%減)とかなり大きく下回った。例年、年末の最需要期に向けて積み増す傾向にあるが、一部外食チェーンの業績悪化などに伴う輸入品の出回り量の減少などが影響し、高い在庫水準が続いているものとみられる。

牛枝肉卸売価格、供給不足などにより相場高が続く

 東京市場における平成27年度上半期の枝肉卸売価格は、出荷頭数および輸入量の減少による供給不足などから、前年を大幅に上回って推移した。9月の同価格は和牛去勢A−4が1キログラム当たり2347円(前年同月比16.9%高)、交雑種去勢B−3が同1659円(同29.0%高)、乳用種去勢B−2が同1115円(同39.4%高)と、いずれも続伸した(図2)。

(畜産需給部 二又 志保)

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