需給動向 海外

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牛肉輸出量、増加の反動から今後は減少見通し


肉用牛飼養頭数、減少傾向が継続

 ビーフ&ラム・ニュージーランド(BLNZ)によると、2015年の肉用牛飼養頭数は、359万頭(前年比2.2%減)となった(図8)。9年連続で前年を下回っており、「肉用牛経営から酪農経営への転換」という近年のニュージーランド(NZ)の畜産経営の傾向が表れている。2015年は、牛肉価格の上昇と一部地域での気象環境の悪化に伴うと畜頭数増加が、特に大きな要因とみられている。また、繁殖雌牛についても、3年連続で前年を下回っており、今後も、肉用牛飼養頭数の大幅な増加は見込みづらい状況となっている。

 なお、島別の飼養頭数を見ると、肉用牛飼養頭数全体の約7割を占める北島は、259万頭(同0.8%減)とわずかな減少にとどまった一方、一部地域で干ばつが進行した南島は、101万頭(同5.7%減)と北島に比べ減少幅が大きくなった(注1)

(注1)総飼養頭数と島別飼養頭数の合計は、四捨五入の関係で一致しない。

輸出向け牛肉生産量、今年度は減少見込み

 BLNZによると、2014/15年度(10月〜翌9月)の輸出向け牛肉生産量は63万2000トン(前年度比8.2%増)となった(図9)。牛肉価格の上昇と乳価の下落により、乳用経産牛を中心にと畜が増加している。一方、2015/16年度の輸出向け牛肉生産量は、59万9000トン(同5.3%減)と見込んでいる。経産牛については、と畜頭数が前年度に記録的な増加となった反動や、乳価がわずかに回復傾向を見せていることから、同12.5%減と見込んでいる。また、雄牛はやや増加するものの、未経産牛や去勢牛についても、前年度増加した反動から減少するとしている。

牛肉国別輸出量、米国、中国向けを中心に増加

 BLNZによると、2014/15年度のNZの国別牛肉輸出量は、44万5344トン(前年度比3.0%増)と、牛肉生産量の増加と牛肉価格の上昇を受け増加している(図10)(注2)。特に全輸出量の半数を占める米国向けは、干ばつ後の牛群再構築に伴う米国国内の牛肉生産減少の影響から、同20.7%増と大幅に増加している。また、米国に次ぐ輸出先である中国向けも、近年の牛肉需要の拡大を受け、同53.3%増となっている。

 一方、米国、中国以外の輸出先については、国ごとに状況が異なっている。日本、韓国向けは、日豪経済連携協定、韓豪自由貿易協定による両国市場での豪州産との競合の高まりを受け減少している。対照的に台湾向けは、NZ台湾経済協力協定による関税の削減などにより増加している。なお、カナダ向けについては、米国と同様に国内生産減少の影響などから増加している。

(注2)「牛肉輸出量」は、各年度に実際に輸出された数量であり、各年度に輸出用に生産された数量である前述の「輸出向け牛肉生産量」とは一致しない。

(調査情報部 根本 悠)


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