需給動向 海外 |
◆米 国◆
牛肉生産量は21カ月ぶりに前年同月比増 |
フィードロット飼養頭数は増加 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が10月23日に公表した「Cattle on Feed」によると、2015年9月のフィードロット導入頭数は、前年同月比4.1%減の193万頭となった。主要生産州別に見ると、カンザス州が前年並み(40万頭)となったものの、ネブラスカ州で同3.8%減(51万頭)、テキサス州で同5.6%減(42万頭)と前年同月を下回っている。また、10月1日時点のフィードロット飼養頭数は、1022万頭と前年同月を2.3%上回った。 これは、草地の状態が良いことで肉牛生産者が保留期間を延ばす一方、フィードロットでは、安価な飼料穀物価格を背景に肉質を上げるために飼育期間を長期化させていることが、フィードロット導入頭数の減少および飼養頭数の増加につながっているものとみられる。 牛肉生産量は増加に転じる USDA/NASSが10月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2015年9月の牛と畜頭数は前年同月比2.3%減の247万頭、1頭当たり枝肉重量は同3.2%増の385キログラムとなった(図1)。この結果、同月の牛肉生産量は同0.8%増の94万6000トンとなった(図2)。と畜頭数は前年同月を下回ったものの増加傾向にあり、また、肥育期間の長期化で枝肉重量の増加傾向が続いていることから、牛肉生産量は2013年12月以来、21カ月ぶりに前年同月比で増加に転じた。 生体牛および牛肉価格は下落基調に 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2015年10月の肥育もと牛価格(速報値)は、前年同月比21.6%安の100ポンド当たり197米ドル(1キログラム当たり529円:1米ドル=122円)となった(図3)。また、同月の肥育牛価格(速報値)は、同19.2%安の同133米ドル(同358円)、牛肉のカットアウトバリュー(注)(速報値)は、同14.9%安の同210米ドル(同565円)といずれも下落した(図4)。 牛肉生産量が増加傾向にある中で、ひっ迫化していた牛肉需給はやや落ち着きを取り戻しつつあり、高水準で推移した肥育牛や肥育もと牛価格も下落基調となっている。 (注) 各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。 輸出量は前年を下回って推移 USDA/ERSが公表している「Monthly US Livestock and Meat Trade」によると、2015年9月の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年同月比24.9%減の7万5000トンとなった(図5)。 主要輸出先国である日本向けが同36.0%減の1万8000トンに落ち込んだことに加え、メキシコが同24.9%減の1万5000トン、カナダが同16.1%減の1万トンと、主要輸出先国向けの輸出が軒並み減少した。USDAは輸出減少の要因として、米ドル高で推移する為替相場や世界経済の減速に加え、特に日本市場については豪州産牛肉との競争を挙げている。 一方、同月の輸入量は同12.4%増の13万1000トンとなり、前年を上回って推移している。 (調査情報部 平石 康久)
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