需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成27年度上半期の鶏肉需給、
生産量・輸入量・出回り量いずれも増加


 平成27年9月の鶏肉需給は、生産量は12万2897トン(前年同月比1.0%増)とわずかに増加、輸入量は4万9996トン(同10.4%増)とかなりの程度増加し、ともに4カ月連続で前年同月を上回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る17万441トン(同5.5%増)となり、推定期末在庫は前月から2452トンを積み増して、13万1548トン(同6.9%増)と、前年同月をかなりの程度上回った(農林水産省「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

上半期の生産量および輸入量、いずれも増加

 平成27年度上半期(4月〜9月)の生産量は、5月を除く各月とも前年同月を上回り、上半期計では74万5582トン(前年同期比1.4%増)と、わずかに増加し、過去最高を更新した(図5)。昨年度から続く需要増を受け、ブロイラーのひなえ付け羽数が増加するなど増産体制で推移したことが影響したとみられる。

 また、上半期の輸入量は、27万2785トン(同9.8%増)と前年同期をかなりの程度上回った。これは、国産鶏肉の相場が堅調に推移したため、加工・業務用を中心に輸入鶏肉の需要が増加したことによるものとみられる。

 輸入相手国別に見ると、約8割のシェアを占めるブラジル産が20万9495トン(同2.6%増)、一昨年12月に輸入解禁となり、約2割のシェアを占めるタイ産は、4万7849トン(同79.2%増)と、いずれも前年同期を上回った一方で、米国産が1万2526トン(同16.8%減)と前年同期を下回った。なお、タイ産については、正確な規格を求める業務筋からの評価が高く、今後も一定程度のシェアを占めるものとみられる。

上半期の推定出回り量および推定期末在庫、いずれも増加

 平成27年度上半期の推定出回り量は、他の食肉に対する価格優位性を受けて、家計消費などが好調を維持したことから、100万4187トン(同4.5%増)と初めて100万トンを超え、過去最高を更新した。

 また、4月末以降積み増しが続く推定期末在庫は、9月末には13万1548トン(同6.9%増)とかなりの程度増加しており、年末需要に向けて積み増しが進んでいることがうかがえる。

鶏肉卸売価格はもも肉、むね肉ともに例年を上回って推移

 平成27年度上半期の鶏肉卸売価格(東京)は、もも肉が4月に1キログラム当たり650円と前年同月並みの水準で始まったものの、他の食肉に対する価格優位性に支えられた堅調な需要により、不需要期の夏場においてもほとんど下がることなく、全ての月で前年同月を上回り、9月には633円となった(図6)。

 むね肉は、4月に前年同月を64円上回る同336円で始まり、その後も、加工・業務用需要が旺盛なことから、全ての月で前年同月を上回って推移し、9月には同351円となった。

(畜産需給部 小林 智也)

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