需給動向 海外

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2015年9月の鶏肉生産量、輸出量とも増加


鶏肉生産量は引き続き増加

 タイ農業・協同組合省によると、2015年9月の鶏肉生産量は前年同月比11.2%増の14万8126トンとなり、同年1〜9月の累計では、前年同期比7.8%増の134万1757トンとなった(図19)。

 鶏肉生産量は、EUがタイ産生鮮鶏肉(注)の輸入を解禁した2012年以降、堅調な輸出需要を背景に継続的に増加しており、2015年に入っても、前年同月を上回って推移している。

(注)ここでいう「生鮮鶏肉」とは、加熱加工していない鶏肉で、主に、生で加工処理され冷凍したものである。

2015年9月の鶏肉輸出量は日本向けが増加

 2015年9月の鶏肉輸出量は、5万7990トン(前年同月比4.5%増)とやや増加した(図20)。同月は冷凍鶏肉(カット品)の輸出量が減少したものの、生産量の増加に伴い、冷凍加塩鶏肉および鶏肉調製品それぞれの輸出が好調であったことが増加要因となった。

 同月の輸出量を品目別で見ると、冷凍鶏肉(カット品)(HSコード:020714)は1万4789トン(前年同月比3.2%減)とやや減少した。輸出の過半を占める日本向けは、9471トン(同66.4%増)と大幅に増加したものの、近隣国のラオス向け(976トン、同82.3%減)やEU向け(1265トン、同62.3%減)の大幅減少などが影響している(図21)。

 冷凍加塩鶏肉(HSコード:021099)は、輸出の9割以上を占めるEU向けの増加により、5373トン(同15.7%増)と前年同月と比べ、かなり増加した(図22)。

 鶏肉調製品(HSコード:160232)は、3万7828トン(同6.3%増)とかなりの程度増加した。内訳を見ると、日本向けが1万9611トン(同15.4%増)とかなり増加し、EU向けも1万4861トン(同3.2%増)とやや増加した(図23)。

鶏肉業界はTPP参加を危惧

 現地報道によると、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の大筋合意を受け、これまで参加を表明していなかったタイ政府が、参加の可能性を示唆した。

 タイブロイラー養鶏協会は、TPP参加国である米国は国内で余剰となった鶏肉の輸出を推進しているため、タイがTPPに参加した場合、自国産より安価な米国産が輸入されると見込んでおり、国内の鶏肉産業が影響を受けると懸念している。

 また、タイ鶏肉輸出業者協会は、米国は世界有数の鶏肉生産および輸出国であり、生産コストもタイに比べて低いため、米国産鶏肉をタイが輸入することになれば、国内の鶏肉産業に飼料を供給するトウモロコシや大豆生産者にも大きな影響が出てくるとしている。

(調査情報部 中島 祥雄)

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