需給動向 海外

◆米 国◆

需給緩和に伴う価格下落で、鶏肉生産量は鈍化見込み


第4四半期の鶏肉生産量を下方修正

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2015年の9月の鶏肉生産量は、処理羽数および平均生体重の増加から、前年同月比5.4%増の158万トンと、7カ月連続で前年同月を上回った。このため2015年第3四半期(7〜9月)の鶏肉生産量は470万トンとなり、前年同期を5.4%上回った(図16)。

 一方、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が毎週公表している「Broiler Hatchery」によると、昨年の8月第1週から今年の9月第1週まで58週連続で前年を上回って推移していたブロイラー用ひなの導入羽数は、9月下旬以降低調に推移し、10月(第1週から第4週の合計)は前年同期比1.2%減の6億6700万羽となった(図17)。

 この背景には、鶏肉生産の増加に伴う需給緩和から鶏肉価格が下降していることで、生産者の増産意欲に歯止めがかかっていることが挙げられる。USDAは今後、鶏肉生産量の増加率が鈍化すると見込み、第4四半期の予測値を455万トン(前年同期比2.2%増)と前月の予測値から下方修正した。

鶏肉卸売価格は前年同月30.4%安

 USDA/NASSが10月22日に公表した「Cold Storage」によると、冷凍鶏肉在庫量は10カ月連続で前年同月を上回って推移しており、9月30日時点では、前年同月比27.9%増の36万3000トンであった。これは、ロシアによる禁輸措置に加え、鳥インフルエンザの発生を理由とした主要輸出先国での輸入制限措置が影響しているものとみられる。同疾病に対する輸入制限措置は、既に中国や韓国が実施しているが、キューバも8月と9月の2カ月間に限って輸入停止措置を実施したことに伴い、8月の輸出量は22万7000トン(前年同月比18.2%減)と大幅に減少した。

 生産量および在庫量の増加を受け、全米主要12都市の2015年10月の平均卸売価格(丸どり中抜き)は前年同月比30.4%安の1ポンド当たり74.3セント(1キログラム当たり200円:1米ドル=122円)となり、8カ月連続で前年を下回っている(図18)。

(調査情報部 野田 圭介)

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