需給動向 海外

◆中国◆

豚価の上昇により豚飼養頭数の減少に歯止め


豚飼養頭数は減少に歯止め

 中国農業部によると、2015年2月に4億頭を割り込んだ豚飼養頭数は、7月に減少に歯止めがかかり、9月には3億8960万頭(前年同月比10.7%減)となった(図12)。今後は、トウモロコシなどの飼料穀物が、豊作により価格が大幅に下がった中、豚肉価格が高い水準にあるため、飼養頭数増加に向け、養豚農家での子豚購入意欲が高まりつつある。

 ただし、繁殖母豚頭数は引き続き減少傾向にあり、同年9月は3854万頭(同13.9%減)となった。

 中国国家統計局によると、2015年第3四半期(7〜9月)の豚肉生産量(枝肉重量ベース)は、1254万トン(前年同期比1.0%減)となった(図13)。前四半期との比較では23.3%増となったものの、1〜9月の累計では、前年同期比3.6%の減少となっている。

豚価格は下降に転じる

 飼養頭数および繁殖母豚頭数の減少により、2015年3月以降前年を上回って推移していた豚出荷価格は、飼養頭数が増加へ転じたことに連動し、8月の1キログラム当たり18.31元(355円:1元=19円)をピークに下降に転じ、10月は、前年同期比20.9%高の同17.53元(340円)となった。

 豚出荷価格は、現地報道などによると、依然として高値で推移しているものの、飼養頭数の増加のほか、経済低迷による豚肉消費の冷え込み、と畜業者による買取価格の抑制などから、今後も下降傾向が続くと見られている。

 豚肉小売価格は、中秋節や国慶節などの大型連休による需要が過ぎたことで、10月は1キログラム当たり30.08元(583円、前年同月比18.8%高)と下降に転じたものの、豚出荷価格同様、依然として高値で推移している(図15)。

2015年1〜9月の豚肉輸入量、前年同期比22.3%増

 2015年1〜9月の豚肉輸入量は、前年同期比22.3%増の51万8303トンとなった(表4)。国別に見ると、2014年に全輸入量の20.8%を占め、輸入先国第1位であった米国は、同15.9%で第3位に後退したのに対し、2014年に第2位であったドイツが同26.5%で第1位となった。

 中国では、国産豚肉価格の上昇により、一部の加工業者が国産豚肉より安価な輸入豚肉の原料使用を進める動きも出ていることから、今後も豚肉輸入量は増加するとみられている。

(調査情報部 伊澤 昌栄)


元のページに戻る