需給動向 海外 |
2014年11月の鶏肉生産は好調、輸出量も増加 |
2014年1〜11月の鶏肉生産量は前年同期比約1割増 タイ農業・協同組合省によると、2014年11月の鶏肉生産量は前年同期比7.2%増の13万6873トンとかなり増加し、同年1〜11月の累計も、前年同期比9.7%増の151万8849トンとなった。(図16)。 堅調な海外からの需要を背景に、EUが輸入を解禁した2012年以降、タイの鶏肉生産量は継続的に増加している。特に2014年は、資金繰りの悪化から食鳥処理場を一時閉鎖していた大手インテグレーターが、稼働を再開し徐々に処理羽数を増やしたことも増加要因として挙げられる。(図16)。
2014年11月の鶏肉輸出量は日本向けカット品の増加でやや増加 2014年11月の鶏肉輸出量は、輸出量の6割以上を占める鶏肉調製品は減少したものの、冷凍鶏肉(カット品)および冷凍加塩鶏肉の増加により、全体では5万1785トン(前年同月比4.7%増)とやや増加した(図17)。
品目別で見ると、冷凍鶏肉(HSコード:020714(カット品))が1万2253トン(前年同月比71.3%増)と大幅に増加した。この増加は、10年ぶりに輸出が再開した日本向けが6117トン(同皆増)と大幅増に寄与したことである。日本向け輸出量は、6月以降、5600トンから6100トンの間で推移しており、当面、この水準で推移すると見込まれる(図18)。
また、冷凍加塩鶏肉(HSコード:021099)は、輸出の9割以上を占めるEU向けの増加により、7111トン(同108.0%増)と倍増した(図19)。
一方、鶏肉調製品(HS:160232)は3万2381トン(同16.6%減)と大幅に減少した。このうち、EU向けが1万2335トン(同20.5%減)、日本向けが1万6260トン(同16.8%減)といずれも大幅に減少した。これは、鶏肉調製品の一部が、冷凍鶏肉や冷凍加塩鶏肉に置き換わっていることによるものである(図20)。
2014年7月、中国での食品の安全性への懸念に関する報道を受けて、日本では、タイ産の鶏肉調製品の調達を進める動きが進むと見られていたが、2014年11月には、中国産鶏肉調製品の輸入が増加に転じており、予想外に短期間の回復となっている(図21)。この動きの背景には、タイ産と中国産の価格差があり、中国産回帰の動きは強まっていると見られている。今後、競合関係にある中国産鶏肉調製品の輸入量は、早い段階で報道前の水準に回復するとの見方もあり、このことはタイの鶏肉生産全体に影響を及ぼすとの懸念がある。
(調査情報部 中島 祥雄)
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