需給動向 海外

◆米 国◆

好景気や飼料価格安を受け、鶏肉生産量は増産傾向


2014年、2015年とも増産見込み

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が12月16日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2014年の鶏肉生産量は、前年比1.7%増の1746万トンと見込まれている。この増加の要因としてUSDAは、景気が回復しつつあり需要が増加していることに加え、飼料穀物価格が豊作により下落し、大手インテグレーターの生産拡大意欲が高まっていることを挙げている。直近値である2014年12月20日から12月27日までのひな導入羽数を見ると、前年同期比3.0%増となっていることからも増産傾向がうかがえる。

 USDAは今後も需要は堅調に推移すると見ており、2015年の鶏肉生産量を前年比3.0%増の1798万トンと見込んでいる(図14)。

図14 鶏肉生産量の推移
資料:USDA
  注:2014年は見込値、2015年は予測値

1羽当たりの飼料費用は減少傾向

 USDA/ERSが12月1日に公表した「Broiler, turkey, and egg feed costs」によると、2014年10月の1羽当たりの生体重に占める飼料コスト指数(注)は、前年同月比8%減の179ポイントとかなりの程度低下した。この低下の要因は、飼料原料の多くを占めるトウモロコシ価格が低水準で推移していることに加え、大豆かす価格も、大豆の豊作が確実になったことを受け大幅に下落し、10月は前年同月比14%安となったことが挙げられる(図15)。

(注)飼料コスト指数は、1998年から2000年までの飼料費割合を100とし、試算した数値。

図15 飼料原料価格の推移
資料:USDA

米国で鳥インフルエンザが発生

 好調な需要や飼料価格安などが鶏肉の増産に追い風となっている中、米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は12月19日、オレゴン州ダグラス郡の農場で高病原性鳥インフルエンザ(H5N8)に感染した家禽類(鶏、あひる、がちょうなど)を確認したと発表した。この事態を受けUSDAは、当該農場を直ちに隔離するなどの措置を講じ、また、同州でのサーベイランスの強化を実施しており、現在のところ他の地域での発生は確認されていない。しかし、12月10日にワシントン州でH5N8に感染した野鳥が確認されており、鶏肉主要生産州であるノースカロライナ州などの東部への広がりが懸念されている。

(調査情報部 山神 尭基)

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