需給動向 国内

◆鶏 卵◆

平成26年の鶏卵卸売価格、前年比28円高


 平成26年12月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、1キログラム当たり248円(前年同月比32円安)と、年末年始の最需要期を迎え前月比では上昇したものの、前年同月比では2カ月連続して下回った。ただし、異例の高騰を見せた昨年よりは低下しているものの、依然として高水準の推移が続いている。この結果、26年通年では同222円となり、前年を28円上回ることとなった(図8)。

 26年の価格推移を見ると、1月は前年の高値を引きずる形での相場展開で始まり、例年どおり2月にピークを迎えた。その後、不需要期の梅雨頃までは下げ基調で推移したが、気温の上昇に伴う卵重、産卵率の低下などから、8月以降は上昇に転じた。

 秋季を迎え、気温が低下するとともに卵重、産卵率が回復し、一定の生産量が確保されたものの、需要面では、大手ファストフードのプロモーション、運動会などの行楽需要が高まったことから鶏卵相場は上昇を続け、前年を上回る水準での推移が継続した。

 11月は、生産が好調なことに加え、相場高騰に伴い加工・業務筋からの引き合いが一服したことなどから、卸売価格は横ばいでの推移し、16カ月振りに前年を下回った。生産量がピークを迎え、かつ、最需要期でもある12月も、おでん・鍋物といった季節需要や量販店の特売需要などにより同価格は上昇したものの、前年を上回るには至らなかった。

図8 鶏卵卸売価格の推移(東京、M玉基準値)
資料:全国農業協同組合連合会「畜産販売部情報」
注1:消費税を含まない
  2:平成23年上半期においては、東日本大震災の影響により、鶏卵の生産、出荷、
   流通が停滞したことにより、相場が上昇した

今後の相場動向に注視

 一般社団法人日本種鶏孵卵協会「採卵用ひな餌付羽数」によると、26年1〜11月の餌付羽数は前年同期比4.8%増の8648万3千羽となっている。よって、今後の鶏卵生産量の増加が見込まれており、鶏卵相場の下落が懸念される。

 一方、需要面では、食料品が全般的に値上がりする中、比較的安価な鶏卵に対する需要は強く、量販店での特売需要や外食産業・業務加工筋からの底固い需要が継続すると思われる。よって、需給バランスは拮抗しており、鶏卵相場は現行水準を維持するとの声もある。引き続き、今後の相場動向に注視したい。

(畜産需給部 藤原 琢也)


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