需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

牛乳の価格指数は、わずかながらも3ヵ月連続で上昇


 総務省統計局が発表した「消費者物価指数」によると、牛乳の価格指数(平成22年平均を100とした場合)は、26年11月の店頭売りおよび配達用牛乳の加重平均で104.0となり、10月の103.8と比べ0.2ポイント上昇し、3カ月連続での上昇となった。

26年4月以降の価格上昇は消費増税分

 牛乳の価格指数は、25年9月は97.8であったが、飲用向け乳価が1キログラム当たり5円引き上げられた25年10月に、100.2と2.5ポイント上昇した後、26年3月までは101前後で推移した。販売シェアの約95%を占める店頭売りの牛乳には、乳価の引き上げが即座に販売価格に反映されたが、配達用牛乳は緩やかな上昇となった(図6)。

11月の牛乳生産量は前年同月並み

 農林水産省が発表した「牛乳乳製品統計」によると、26年11月の牛乳生産量は25万1154トン(前年同月比100.0%)で前年同月並みとなった。4月の消費増税直後でも極端な減少は見られず、6月には一時的に前年同月を上回ったことから、商品価格の引き上げが直接的に生産にマイナスの影響を与えたとまではいえない(図7)。なお、7〜8月は都府県で天候不順が続いたため飲用向けの生乳需要が低下し、牛乳生産量は前年同月比で96パーセント台となったが、秋以降は回復傾向にある。

27年4月に飲用向け乳価が3円引き上げ

 26年12月18日、関東生乳販連は26年度乳価交渉の結果、27年4月から飲用向け乳価を1キログラム当たり3円引き上げると発表した。この決定を受け、各地域の生産者団体も同様に3円引き上げる見込みである。また、27年1月9日には、ホクレンが全用途別乳価を4月から引き上げると発表した。プール乳価では1キログラム当たり3円60銭の引き上げとなる。円安による飼料価格の上昇をはじめとした生産コストの増加によって、酪農経営は依然厳しい状況に置かれている。今回の決定が生乳生産基盤の回復につながることが期待される。

27年度のバター・脱脂粉乳等向けの補給金単価は1キログラム当たり12.90

 27年1月14日に開催された「食料・農業・農村政策審議会畜産部会」において、畜産物価格等の算定について諮問・答申が行われ、27年度畜産物価格等が決定した。これにより、27年度のバター・脱脂粉乳向けの生乳の加工原料乳生産者補給金単価は1キログラム当たり前年度比0.1円引き上げとなる12.90円と、23年度から5年連続で引き上げられ、交付対象数量は同2万トン減となる178万トンとなった。また、チーズ向けは同0.12円引き上げの15.53円となり、交付対象数量は前年度と同じ52万トンとなった。

図6 牛乳の価格指数の推移
資料:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」
  注:平成22年平均を100とした場合の価格指数
図7 牛乳生産量の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
(畜産需給部 岡 久季)


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