需給動向 海外 |
豚肉価格上昇で豚飼養頭数が増加 |
繁殖豚の飼養頭数は前年並みを維持 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2014年7月1日現在の豚の飼養頭数は、前年比1.3%増の1293万5000頭となり、3期連続で前年を上回った(表3)。その内訳を見ると、繁殖豚が122万1800頭(同0.7%増)、肥育豚が1171万3200頭(同1.4%増)となり、主要輸出先である米国の豚肉価格の上昇に伴い、生産者の増産意欲が高まったものと推察される。一方で、子豚(23キログラム以下)は同1.1%の減少となり、2014年1月末から発生した豚流行性下痢(PED)による影響が考えられる。このような中、繁殖豚が前年よりわずかに増加していることなどから、2015年の飼養頭数は増加するものとみられている。
豚肉生産量は前年をわずかに上回る カナダ農務農産食品省(AAFC)が公表している「Red Meat Market Information」(1月6日時点)によると、2014年10月の豚と畜頭数は、161万9000頭(前年同月比2.3%減)となり、2014年1〜10月の累計では1697万5000頭(前年同期比0.3%減)となった。 一方、10月の豚肉生産量は、前年同月比1.7%増の15万3000トンとなり、1〜10月の合計は158万5000トンと前年同期をわずかに上回った(前年同期比0.8%増)。これは、飼料価格安により飼料の多給が進み、枝肉重量が増加したことによるものであり、2014年通年でも前年より増加するとみられている。また、2015年についても、飼養頭数の増加や飼料価格安が見込まれることにより、豚肉生産量は2014年を上回るとみられている。 こうした状況の中、2014年12月の肥育豚価格は、前年同月比14.6%高の1キログラム当たり1.77ドル(186円:1カナダドル=105円)となり、年間の平均価格は同2.02ドル(前年比23.6%高)となった(図9)。この上昇要因として、米国で減産により豚肉価格が高値で推移したことや、国内で高値で推移する牛肉からの代替需要が高まったことが挙げられる。
輸出減少も、米国、日本向けは堅調 2014年1〜10月の豚肉輸出量は、前年同期比1.9%減の73万1000トンとなった(図10)。輸出先国別に見ると、国内生産量が増加した中国向けは同23.2%減の6万5000トン、米韓FTAにより関税の面で、米国産豚肉の優位性が高まったことにより、韓国向けが同11.0%の減少となった。また、ロシア向けは7月までは前年を大幅に上回って推移したものの、ウクライナ問題を背景としてロシアがカナダなどからの農産物の禁輸措置を講じたため、8月以降大幅に減少している。 一方、米国の豚肉価格の高騰や米ドル高により、米国向けが前年同期比9.5%増の25万5000トンとなり、次いで日本向けが同3.7%増の13万1000トンと堅調に推移した。
(畜産需給部 渡邊 陽介)
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