需給動向 国内

◆豚 肉◆

11月の推定期末在庫、9カ月ぶりに取崩し


 平成26年11月の豚肉需給は、生産量は前年同月をかなり大きく下回る7万782トン(前年同月比13.3%減)、輸入量は前年同月をかなり大きく下回る5万3404トン(同13.6%減)、推定出回り量は前年同月をかなりの程度下回る14万887トン(同7.3%減)となり、推定期末在庫は20万3810トン(同33.2%増)と、前月から1万6742トンを取り崩した(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。26年2月の16万788トン以降、10月の22万552トンまで毎月積み増した推定期末在庫は、9カ月ぶりに減少に転じた。

12月の豚枝肉卸売価格(省令価格)、1キログラム当たり659円の高水準

 豚枝肉卸売価格(省令価格)は、依然として高値で推移している。これは、国内で発生した豚流行性下痢(PED)の影響により、国産豚肉の生産量が減少していることに加え、国産豚肉と競合関係にある外国産冷蔵豚肉の輸入量が、現地相場の上昇および円安の進行などにより減少していることが主な要因とみられる。

 例年10〜11月は、生産量が多いことから価格が最も低い水準となり、年によっては豚肉安定基準価格(26年度は1キログラム当たり425円)を下回ることもあるが、PED発生が生産量に大きく影響したとみられる26年11月においては、安定上位価格(同570円)を上回る同591円となった。また、需要期である12月は同659円とさらに上昇し、26年度では6月の同665円に次ぐ高値となった(図4)。

 なお、需要期から外れるため価格が低下する傾向にある1月においても、14日までの平均価格(速報値)は同584円となっている。これは、この年末年始の休市期間が例年と比べて長かったため、年明けの市場開催と同時に補充買いが集中したことが一因であるが、全国の出荷頭数は日々7万頭を超えて推移し、14日の価格は同530円まで低下しており、徐々に落ち着きを取り戻している。

図4 豚枝肉卸売価格(省令)および豚肉生産量の推移
資料:農林水産省「食肉鶏卵速報」「食肉流通統計」
  注:価格は東京・大阪市場の省令規格加重平均値、直近月は速報値

27年度の豚肉安定基準価格、15円引き上げ1キログラム当たり440円に

 27年1月14日に開催された「食料・農業・農村政策審議会畜産部会」において、畜産物価格等の算定について諮問・答申が行われ、27年度の畜産物価格等が決定した。豚肉の安定価格については、安定上位価格が現行570円から590円に、安定基準価格は現行425円から440円と、それぞれ20円および15円引き上げられた。

 これは、飼料費を中心とした推定生産費が、過去5年間の平均に対して上昇する見込みとなったことによるものである。

(畜産需給部 三田 修司)

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