需給動向 海外 |
旺盛な需要を受け、牛肉輸入量は引き続き増加 |
牛肉消費量は、生産量を上回って推移 牛肉消費量は、所得の向上による高タンパク質食品需要の拡大に伴い、増加基調で推移しており、2014年は前年比4.5%増の700万トンと見込まれる。2015年4月に中国農業部が公表した「中国農業発展報告(2015〜24年)」によると、2015年は、前年より7.1%増の750万トンであり、その後も引き続き増加し、2024年には877万トンと予測している(図10)。 一方、生産量については、飼料費などの生産費上昇など、経営環境の悪化に伴い、小規模肥育農家を中心に廃業が相次ぎ、飼養頭数が減少していることから、消費量を賄いきれなくなるとみられる。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が2014年10月に公表した「Livestock and Poultry: World Markets and Trade」によると、2014年の推定飼養頭数は1億300万頭で、2015年は5万頭減少すると予測している(図11)。 このため、2014年は消費量に対して生産量が10万トン不足するとみられ、この差は、2015年は39万トン、2024年には49万トンに拡大すると予測されている。 小売価格はさらなる上昇の可能性 こうした中、牛肉(モモ肉)の小売価格は上昇傾向となっており、2014年11月に1キログラム当たり67.08元(1275円:1元=19円)、2015年2月には同68.19元(1296円)となった(図12)。その後、3月以降はやや下げて、8月は同67.12元(1275円)と、価格は落ち着きをみせている。今後については、生産量と消費量の差が拡大すると予想されていることから、さらに上昇する可能性がある。 2015年1〜7月の冷凍牛肉輸入量は前年同期比24.1%増 旺盛な需要を受け、牛肉輸入量は2013年以降、急増しており、2015年1〜7月の冷凍牛肉輸入量は、前年同期比24.1%増の22万7281トンとなり、輸入先は、豪州、ウルグアイ、NZで9割弱を占めている(表3)。他方、中国は、2012年12月にBSE(牛海綿状脳症)が確認されたため牛肉の輸入を禁止していたブラジル産牛肉について、2015年6月から条件付きで輸入を再開すると公表した(注)。これ以前にも、2014年に習近平国家主席(当時)がアルゼンチンを訪問して2国間の貿易拡大について会談したことや、2015年1月にチリ産牛肉の輸入許可を行ったことなど、中国における南米産牛肉の占有率拡大につながる動きが見られる。 (注):JBS S.Aなど4者が所有する輸出認証施設で生産した30カ月齢以下の冷凍牛肉で、頭部の (調査情報部 伊澤 昌栄)
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