需給動向 海外

◆カナダ◆

肉牛生産基盤の縮小により生体牛価格は高値で推移


牛飼養頭数は前年比2.1%減少

 カナダ統計局が8月20日に公表した「Cattle Statistics」によると、2015年7月1日時点の牛飼養頭数は、前年比2.1%減の1300万5000頭となった(表1)。内訳を見ると、肉用繁殖雌牛は同3.4%減の379万2000頭、肉用後継牛は同0.6%減の61万3000頭となった。一方、去勢牛は同4.0%増の168万8000頭となり、増加の要因として、米国向け生体牛輸出価格の先高感による保留傾向が働いているものとみられる。

 また、カナダ農業・農産食料省が8月13日に公表した「Canadian Drought Monitor」によると、今夏アルバータ州を中心に干ばつが発生している。同州は国内最大の牛飼養地域であり、繁殖雌牛など肉牛の放牧環境への影響が懸念されている。

米国向け生体牛輸出頭数は減少傾向

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が8月6日に公表した「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2015年第2四半期のカナダの米国向け生体牛輸出頭数は、前年同期比27.9%減の22万4000頭となった(図6)。米国からの強い引き合いにより、生体牛輸出頭数は2012年秋から前年を上回って推移してきたが、2015年第1四半期から減少に転じている。

需給のひっ迫から牛肉価格も高値で推移

 生体牛価格は、飼養頭数が低水準で推移する中、米国からの需要増に連動し、2014年に入り上昇傾向で推移してきた。2015年も米国からの高い需要から高水準で推移しており、2015年6月の肥育牛価格は、前年同月比30.0%高の100ポンド当たり199.69カナダドル(1キログラム当たり409円:1カナダドル=93円)となった(図7)。

 カナダ肉用牛生産者協会(CCA)の畜産物市況分析部門であるCANFAXによると、カナダ国内の牛肉卸売価格も同様の傾向を示しており、2015年6月の同価格は同305.06カナダドル(同625円)と、前年同月比26.2%高の高水準を維持している。

(調査情報部 渡邊 陽介)

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